ウィズコロナ時代の新たな働き方として「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた「ワーケーション」が日本でも注目されていますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークが当たり前となりつつあるここ西海岸でも仕事と休暇を組み合わせた新たな働き方がトレンドになりつつあります。ちなみにワーケーションは造語なのでアメリカでは通じませんが、全米最大のカジノリゾートとして知られるネバダ州ラスベガスで今、「Viva Las Office(ビバ・ラス・オフィス)」という遊びと仕事を組み合わせた宿泊プランが人気になっているそうです。

夜は部屋からストリップの夜景を一望しながらロマンチックに過ごすことも
夜は部屋からストリップの夜景を一望しながらロマンチックに過ごすことも

ラスベガスは3月中旬に新型コロナウイルスの感染拡大の影響でロックダウンされて以降、全てのホテルが閉鎖し、ゴーストタウンと化していました。それから3か月経った6月上旬から、宿泊者のフロントロビーでの検温やスマホを使った非接触型のチェックイン、無料のマスクや手袋の配布に手洗い場や手指消毒ステーションの設置など様々な感染予防対策を講じた上で営業が再開されました。コロナ禍以前と比較するとまだまだ観光客は少ないものの賑わいが戻りつつあります。ロサンゼルス(LA)から車で4時間ほどの距離にあるラスベガスは、気軽に行ける観光地として親しまれており、パンデミックでリモートワークになった人たちが気分転換にパソコンを持参して仕事半分、休暇半分で訪れる機会も増えているそうです。

アリアはストリップから少し奥まったところにありますが、超高級ショッピングモールクリスタルズに隣接しており、買い物や食事は便利
アリアはストリップから少し奥まったところにありますが、超高級ショッピングモールクリスタルズに隣接しており、買い物や食事は便利

少なくとも年内いっぱいはリモートや完全リモートに切り替える企業も増える中、自宅を離れて自然の中で仕事をしたり、旅をする感覚で自宅と休暇先を行ったり来たりしながらより自由な形で働くライフスタイルに注目が集まっていると言われています。ラスベガスのメディアによると、週の半分を仕事のためにホテルで過ごし、残る半分は自宅に戻ってゆっくり過ごすなどこれまでとは異なるタイプの宿泊客が増えているそうです。リゾート地なら朝からプールサイドでパソコンを使って仕事をすることもでき、ルームサービスを利用すれば人との接触もなく快適に過ごせるのも人気の秘訣なのだそう。そんな中、ベラージオやMGMグランド、ミラージュなど日本人にも人気のホテルで知られる総合型リゾート運営会社MGMリゾーツ・インターナショナルが、コロナ禍の新たな宿泊プランとしてベラージオとアリアで働きながら余暇も楽しむ「ビバ・ラス・オフィス」という宿泊プランの販売を始めました。このサービスの最大の特徴は、滞在期間中はレストランやゴルフの予約、車の手配など雑用を頼むことができる自分専用のアシスタントが付くこと。さらに宿泊代金には飲食に使える50ドルのクレジットやヘリコプターツアーの割引など特典がたくさんついており、ラスベガスまでの移動も近隣都市からMGMが手配するセミプライベートジェット機に割引価格で乗れたりと至れり尽くせりです。サービスの内容によって3つのプランがありますが、1泊100ドルから利用が可能でかなりお得です。プールサイドで冷たい飲み物を飲みながら仕事をしたり、電話会議も可能。ベラージオなら部屋やカフェから名物の噴水ショーを眺めながら仕事もでき、ストリップの中心に位置しているので仕事の後は食事や買い物を楽しむにも最高のロケーションです。夜はホテル巡りやカジノを楽しむこともできますし、家族連れで訪れて平日の日中は子供たちはプールで過ごし、週末は近郊のグランドキャニオンやレッドロックキャニオンに足を伸ばして自然を楽しむこともでき、長期滞在やリピーターも多いようです。

ベラージオは「オーシャンズ11」など映画のロケ地としても有名
ベラージオは「オーシャンズ11」など映画のロケ地としても有名

コロナ禍で以前のような大型のイベントやコンベンションの開催は現時点では難しく、ソーシャルディスタンスが求められる中でカジノも人数制限をして営業するなど再開から3か月経った今もパンデミックの影響を大きく受けているラスベガス。依然として海外からの旅行客はほとんど入ってこない状況の中、ワーケーションが新たなビジネスモデルとして定着するのか注目されるところです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)

ベラージオの噴水はコロナ禍でもソーシャルディスタンスを保ちながら楽しめます
ベラージオの噴水はコロナ禍でもソーシャルディスタンスを保ちながら楽しめます