華やかな就任式、陰の主役は防寒着のサンダース氏

現地時間２０日にバイデン新大統領が就任し、４年間続いたトランプ政権が終わりを迎えてから一夜過ぎたアメリカは、新たな時代の幕開けとなりましたが、メディアやネットではさっそく就任式でのファッションが話題になっています。

: バイデン新大統領夫人は民主党カラーのブルーを取り入れたファッション　（写真はCNNより）

バイデン大統領はアメリカを象徴するブランド「ラルフ・ローレン」のネイビーのスーツとそれに合わせたブルーのマスクというエレガントで落ち着いた装いで誠実さをアピールする一方、ファーストレディのジル夫人はニューヨークを拠点にする新鋭ブランド「マルカリアン」の華やかなブルーのコートとおそろいのドレスを選択。襟元にスワロフスキーのパールやクリスタルが飾られたオーダーメイドのドレスとコートに合わせて手袋とマスクも同系色を選び、民主党のイメージカラー青を全面に出した就任式にふさわしい華やかないでたちでした。

: ハリス新副大統領は団結をアピールする紫色をチョイス　（画像はハリス副大統領のツイッターより）

一方、ハリス新副大統領をはじめ元ファーストレディのヒラリー・クリントン氏、ミシェル・オバマ氏らは、揃ってパープル色のファッションに身を包んで団結をアピールしていました。高貴で気高い紫色は、民主党を象徴する青と共和党の赤が交じり合った色のため、政治的分断が起きている時代に団結を示す色の象徴であると米メディアは伝えています。女性初というだけでなく、黒人、アジア系としても初となる副大統領に就任したハリス氏は、ニューヨークを拠点に活躍する黒人デザイナー、クリストファー・ジョン・ロジャーズ氏の手掛けた青みの強い紫のコートと揃いのワンピースに同じく黒人デザイナーのセルジオ・ハドソン氏のパールのネックレスを合わせ、黒の手袋とマスクを着用。マイノリティ人種に対するメッセージも込められた装いになっていました。また、オバマ元大統領夫人はハドソンが手掛けたプラム色のタートルネックにワイドパンツというセットアップに同色のロングコートを合わせたコーディネートで登場。元ファーストレディで元国務長官、元大統領候補という肩書を持つクリントン氏は、ラルフ・ローレンの鮮やかなパープルのパンツスーツに同色のスカーフ、葡萄色のコートに黒いマスクを着用していました。

: ミシェル・オバマ氏は葡萄色のコーディネート　（写真はBBCニュースより）

: ヒラリー・クリントン氏はパープルのパンツルック　（写真はInsiderより）

パワフルな歌声で国家独唱を披露したレディー・ガガは、イタリアのファッションブランド「エリザ・スキャパレリ」の真っ赤なスカートが目を引くドレスで登場。胸元には平和を象徴する金色の大きな鳩のブローチが輝き、スカートに合わせた赤いリップと編み込みヘアも印象的な装いでした。一方、「わが祖国」を披露したジェニファー・ロペスは、「シャネル」の白いシルクブラウスに白いスパンコールパンツ、白いツイードコートで全身をホワイトで統一した上品な装いで緊張した面持ちながら立派に大役を務めました。

: 「オリーブの枝を運ぶ鳩。全ての人が共に平和になりますように」とコメントを添えて金色の鳩のブローチを投稿したガガのツイート　（画像はガガのツイッターより）

: 大役を果たしたロペスはインスタグラムで議事堂をバックに婚約者のアレックス・ロドリゲスとのツーショットを披露　（画像はロペスのインスタグラムより）

そして、そんな華やかな就任式で秘かに注目を集めたのが、大統領選でバイデン新大統領と民主党の候補者指名争いを繰り広げたバーニー・サンダース上院議員の防寒着でした。７９歳のサンダース氏は寒空の下での就任式に備えて分厚い防寒ジャケットを着こみ、毛糸の手編みのミトンをはめ、水色の不織布のサージカルマスクというまるで近所に買い物にでも出かけるかのような装いだったことが話題に。茶封筒を手にしていたことから「郵便局に出かけたおじいちゃんみたい」と言った声から、「買い物途中に就任式に出くわしちゃったんだよ」というものまで、SNSはサンダース氏の服装に関する話題でもちきりになりました。ソーシャルディスタンス確保のために一人ぽつりと座るその姿にくぎ付けになった人も多く、様々な映画やドラマのワンシーンなどにサンダース氏を座らせる加工画像も多数投稿され、盛り上がっています。