東京オリンピック(五輪)の開催まで2カ月を切った24日、米国務省が新型コロナウイルスの感染拡大が深刻であることを理由に日本への渡航警戒レベルを引き上げ、自国民に対して日本への渡航を中止するよう勧告しました。アメリカでは成人の半数が新型コロナワクチンの接種を完了したと25日にホワイトハウスが発表しましたが、日本への渡航に関してはワクチンの接種を終えていても変異株へ感染リスクや感染を拡大させる恐れがあるとし、4段階のうち最も厳しいレベル4の「Do Not Travel(渡航禁止)」となりました。もともと、東京五輪は海外からの観光客の受け入れを断念しているため、レベル4になっても旅行者には大きな影響はありませんが、五輪開催そのものへの影響は今後出てくる可能性もありそうです。

カリフォルニア州も来月15日から完全再開を目指していますが、観光地はすでに多くの人でにぎわっています
カリフォルニア州も来月15日から完全再開を目指していますが、観光地はすでに多くの人でにぎわっています

ちなみに現在、レベル4に指定されているのは、アフリカの国々やドイツやフランス、イタリアなどヨーロッパ諸国、ロシア、インド、イラク、ブラジルなど世界の80%にあたる150カ国ほど。オーストラリアやニュージーランド、中国、香港などはレベル3の「渡航の再考」で、韓国やシンガポールはレベル2の「注意強化」となっています。そんな中、ヨーロッパではこの夏にアメリカからの旅行者受け入れを再開させる動きを見せています。欧州連合(EU)諸国は、具体的な日時は未定ながらも近くワクチン接種が完了したアメリカ人旅行者の受け入れを再開することを発表しており、それに先立ってスペインは独自に6月7日からワクチン接種済みのアメリカ人の入国を認める方針を示しています。また、すでにクロアチアやギリシャ、アイスランドなどはアメリカ人の入国規制を緩和しており、飛行機の予約状況は好調だといいます。

バーやレストランも週末は大にぎわい
バーやレストランも週末は大にぎわい

感染状況が好転しているアメリカでは今月末から来月初めにかけて始まる夏休みを前に早くも「バカンスモード」に突入しており、コロナ禍で1年以上自粛していた旅行に今夏は再び出かける動きが活発になっています。最近国内線を利用した友人によると機内はコロナ禍前のような混雑ぶりだったといい、筆者の周囲でも国立公園に家族旅行に出かけたという人や遠くの海外にはまだ抵抗があるので近場のメキシコまで行ってきたという人もおり、確実に「バカンス」がアメリカ人の生活に戻ってきていることがうかがえます。

ラスベガスも来月から完全再開されます
ラスベガスも来月から完全再開されます

報道によると多くの観光地ですでにホテルの値段が高騰しているほか、ハワイでは観光客の急増で深刻なレンタカー不足が起きて引っ越し用のトラックをレンタルする人が増えていると伝えられています。また、カジノリゾートホテルが立ち並ぶラスベガスでも6月1日からカジノや飲食店などの入場制限やソーシャルディスタンスなどすべての規制が撤廃され、完全再開することが発表されており、ワクチン接種者は屋内外問わずマスク着用を求められることもなくなります。ラスベガスはすでに今年3月の時点で、コロナ禍以前の水準にまで経済が回復していると伝えられており、これから独立記念日の7月4日にかけてさらに大勢の観光客が訪れると予想されています。

今年の夏は2年ぶりのバカンスを楽しむ人で観光地はにぎわいそうです
今年の夏は2年ぶりのバカンスを楽しむ人で観光地はにぎわいそうです

全米各地の空港でも連日コロナ禍以降最高の人出を記録しており、この夏は国内旅行のみならず国境が再開すれば多くの人が再び海外旅行にも出かけることにもなりそうです。まずは今月末に迎えるメモリアルウイークエンド(戦没将兵追悼記念日の3連休)で、多くの観光地がコロナ禍前のにぎわいを取り戻すことになるでしょう。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)