東京オリンピック(五輪)のために来日しているアメリカの記者たちは、競技取材の合間に「五輪の舞台裏」「日本の魅力や文化」など様々な日本での体験をリポートしたり、SNSに投稿したりしていますが、彼らをとりこにしているのは「Sushi(スシ)」でも「Ramen(ラーメン)」でもなく、なんと「KONBINI(コンビニ)」のようです。コンビニは英語ではConvenience store(コンビニエンスストア)といい、セブン-イレブンはテキサス州が発祥の24時間営業のコンビニエンスストアとしてこちらでもおなじみですが、実態は日本のコンビニとはまったく別物と言っても過言ではありません。

セブン-イレブンの総菜コーナーにあるのはサラダやサンドイッチ、ブリトーなど
セブン-イレブンの総菜コーナーにあるのはサラダやサンドイッチ、ブリトーなど

新型コロナウイルスの感染予防対策で厳しい行動制限がある海外記者たちは、外食など自由に出歩くことができないため、ホテルに併設されたコンビニを利用する頻度が高いこともあると思いますが、仕事終わりの深夜に訪れても棚には常に商品がストックされており、温かい食べ物がいつでも食べられることに感動しているようです。「コンビニなしでは生きていけない」とまでツイートする記者もおり、温泉卵、サンドイッチ、スナックにアルコール、はたまた雨がっぱや体温計までなんでもそろっているコンビニは、「日本の隠れた宝だ」と報じるメディアもあります。いつでも気軽に利用できるコンビニは日本に生まれ育った人には当たり前の光景ですが、海外のコンビニとは何が違うのか、アメリカのコンビニ事情を紹介したいと思います。

日本ほどではないとはいえ、LAでもセブン-イレブンはあちらこちらで見かけます
日本ほどではないとはいえ、LAでもセブン-イレブンはあちらこちらで見かけます

まず、アメリカのコンビニの特徴の1つに、買い物を目的に行く人が少ないということがあります。特に車社会のロサンゼルス(LA)では、食料品や日用品を買いたければスーパーマーケットに行けば済むことですし、最近はデリコーナーも充実していて温かい食事も買えるのでコンビニに行く必要性はまったくないと言えます。コンビニの多くはガソリンスタンドに併設されており、ガソリンを入れるついでに飲み物やスナック、ガムなどを買うというのがアメリカのコンビニのイメージです。特に郊外や高速道路沿いのガソリンスタンド併設のコンビニは、ドライブ休憩を兼ねてコーヒーや水などドリンクを買う目的で利用する人がほとんどで、必然的に日本のコンビニとは取り扱う商品も異なっています。お弁当という文化がないため、温かい食べ物といえばホットスナックコーナーにあるピザやホットドッグ、チキンナゲットくらいで、それさえない店舗もたくさんあります。代わりに充実しているのは、ナッツやジャーキーなど運転しながらでも食べられるスナックや飲み物で、好みのドリンクを自分でカップに注ぐセルフスタイルも多く、ホットコーヒーやフローズンドリンクも種類が豊富です。スーパーと違う点としては小さなカップのアイスクリームや単品でアイスキャンディーが買えること。他には郊外の観光地近郊のコンビニではキーホルダーやTシャツなどちょっとしたお土産や絵はがきなどが売られていることくらいです。

日本でも知られたampmは、ガソリンスタンドに併設されている南カリフォルニア発祥のコンビニ
日本でも知られたampmは、ガソリンスタンドに併設されている南カリフォルニア発祥のコンビニ

ガソリンスタンドに併設されていないコンビニとしてはセブン-イレブンがあり、ロゴや外観は日本でもおなじみのものですが、店内はまったく異なった雰囲気になっています。スナックや飲み物を中心にわずかながらその他の食料品や洗剤などの日用品があり、日本のコンビニのメインであるお弁当に代わるものと言えばサラダやサンドイッチ、ブリトー(トルティーヤに米と具をまいたメキシコ料理)くらい。24時間営業ですが、LAでは深夜2時以降のアルコール販売は禁じられているため、夜中に訪れてもアルコールを買うことはできません。そして、治安の観点からも小腹がすいたからと深夜にふらりと買い物に行く人も普通あまりいません。ただ、携帯電話のケーブルやイヤホンなどが夜中に急きょ必要になった時に買える便利さはあります。しかし、どちらかというと普段特に買いたいものがあるわけではなく、ついでに立ち寄る程度であるため、商品が充実した日本のコンビニは天国のように感じられることでしょう。

カナダから来日したCBCテレビ局の記者はコンビニ愛にあふれるツイートを多数投稿しています
カナダから来日したCBCテレビ局の記者はコンビニ愛にあふれるツイートを多数投稿しています

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)