年代を問わず世界中の人たちから愛される夢の国ディズニーランド。今では東京をはじめ、パリや香港、上海にもありますが、ここカリフォルニア州ロサンゼルス南部のアナハイムにあるディズニーランド・パークが元祖です。そして、アメリカ国内にはもう1つ、フロリダ州オーランドにウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートもあります。世界最大規模を誇るウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートが、今月1日に開園50周年を迎えたことを記念し、東西2つのディズニー・パークを比較してみました。両パークを訪れた体験談などと合わせてそれぞれの魅力を紹介します。

●歴史

アナハイムに世界で初めてディズニーランドがオープンしたのは1955年で、ジャングルクルーズや蒸気船マーク・トウェイン号など11種類のアトラクションからのスタートとなりました。2001年2月には隣接する土地にディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークもオープンし、2つのパークをつなぐ商業施設ダウンタウン・ディズニーもあります。一方、オーランドの広大な土地にウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートがオープンしたのは、1971年。最初のパーク「マジック・キングダム」と共にコンテンポラリー・リゾート、ポリネシアン・ヴィレッジ・リゾート、そしてキャンプリゾートのフォート・ウィルダネス・リゾート&キャンプグラウンドも同時開業しました。その後も拡張を続け、1982年には「エプコット・センター」、89年には「ディズニー・MGM・スタジオ(現ディズニー・ハリウッド・スタジオ)」、98年には4つ目のパーク「ディズニー・アニマル・キングダム」がオープンしました。

ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのシンデレラ城をバックにしたウォルト・ディズニーとミッキーの像
ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのシンデレラ城をバックにしたウォルト・ディズニーとミッキーの像

●パークの規模

両パークの一番の違いは、敷地の広さです。アナハイムのディズニーランドは東京ディズニーランドのおよそ2倍の広さですが、ディズニー・ワールドはなんと東京の110倍、元祖ディズニーランドの55倍もの広さを誇ります。ディズニーランドの2つのパークは、入口が向かい合っているため徒歩で簡単に行き来することができ、1日に2つのパークを手軽に楽しむことができます。一方のディズニー・ワールドは、建設計画について「ディズニーランドで手に入らなかった特別なもの、広さがある。私たちが想像しうるすべてのアイディアや計画を実現するための十分な空間」とウォルト・ディズニーが語る映像が残っていますが、まさに広大な土地にウォルトの全てのアイディアが集結しているのが特徴です。地元のタクシー運転手の話では、敷地面積はサンフランシスコ市とほぼ同じで、4つのテーマパークのほか、25を超えるホテルリゾート、複数のゴルフ場、2つのウォーターパーク、商業施設「ディズニー・スプリングス」、そしてスポーツアリーナ「ESPNワイド・ワールド・オブ・スポーツ・コンプレックス」もあり、1つの都市と言っても過言ではありません。各パークやホテル間は、バスのほかモノレールやボートフェリー、スカイライナーなどでつながっていますが、全てのパークを遊びつくすには1週間あっても足りないと言われるほどの規模を誇っています。

「アニマル・キングダム」にある「アバター」の世界観を再現したテーマランド「パンドラ:ザ・ワールド・オブ・アバター」
「アニマル・キングダム」にある「アバター」の世界観を再現したテーマランド「パンドラ:ザ・ワールド・オブ・アバター」

●シンデレラ城

ディズニーと言えばシンデレラ城ですが、元祖ディズニーランドにあるのはシンデレラ城ではなく、「眠れる森の美女」をモデルにしたオーロラ城です。実はシンデレラ城は、東京ディズニーランドとディズニー・ワールドにしか存在しないのです。オーロラ城は高さ約23.46メートルとシンデレラ城の半分以下の大きさのため、初めて見た人の中には「想像よりも小さい」と感じる人も少なくないようです。アトラクションはないため城の内部に入ることできませんが、ウォークスルー型の簡単な展示があり、階段で地下に降りることはできます。一方、シンデレラ城には中で食事ができるレストランがあります。「シンデレラのロイヤルテーブル」は、城内でプリンセスたちのグリーティングを受けながら食事を楽しむことができるため、もっとも予約が困難なレストランの1つとして知られています。

ディズニーランドのオーロラ城
ディズニーランドのオーロラ城

●両パークの特徴

ディズニーランドでしか楽しめないアトラクションと言えば、今年6月にオープンしたマーベル映画「アベンジャーズ」シリーズの世界観が体験できる新テーマランド「アベンジャーズ・キャンパス」があります。他にも映画「インディ・ジョーンズ」をテーマにした遺跡探索ライド「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」や、カリフォルニア・アドベンチャーにある映画「カーズ」の世界観を再現した「カーズランド」もその1つです。また、コロナ禍で現在は休止していますが、ディズニーランドの歴史をガイドと共に見学するツアー「ウォーク・イン・ウォルトのディズニーランド・フットステップス」に参加すると、一般のゲストは入ることができないウォルトが暮らしていたアパートの部屋を訪れることができます。ウォルトはディズニーランド建設時、メインストリートUSAにある消防署の2階で暮らしながら建設を見守っていたと言われ、その後も週末にはその部屋からパークを眺めて過ごしていたそうです。

一方、ディズニー・ワールド・リゾートの「アニマル・キングダム」には映画「アバター」をモチーフにした「パンドラ」というエリアがあります。最新技術を駆使した3Dアトラクション「アバター・フライト・オブ・パッセージ」では、自分とリンクしたアバターがパンドラに住む翼竜マウンテンバンシーの背なかに乗って美しいパンドラの世界を飛び回り、アバターの世界感を体験することができます。また、「キリマンジャロ・サファリ」ではアニマル・キングダムで暮らすライオンやトラ、キリンやカバなど本物の動物たちをサファリカーから見学することができます。「ハリウッドスタジオ」には映画「トイストーリー」をテーマにした「トイストーリーランド」があるほか、エアロスミスの楽曲と共にロサンゼルスの高速道路を駆け抜けるジェットコースター「ファンタズミック、ロックンローラーコースター」などもあり、敷地が広い分だけアナハイムにはないアトラクションやエリアがたくさんあります。

ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー
ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー

●両パークの最新ニュース

カリフォルニア・アドベンチャーに今夏オープンした最新アトラクションは、「スパイダーマン」をテーマにしたライド「ウェブ・スリンガーズ:スパイダーマン・アドベンチャー」と映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」をテーマにしたフリーフォール型アトラクション「ミッション・ブレイクアウト!」で、今後は「スプラッシュ・マウンテン」のリニューアルも予定されています。また、ミッキーをテーマにしたライドアトラクション「ミッキーとミニーのランナウェイ・レイルウェイ」も来年オープンを控えています。

来春オープン予定の「スター・ウォーズ」の世界を体験できるホテル「スター・ウォーズ:ギャラクティック・スタークルーザー」の模型
来春オープン予定の「スター・ウォーズ」の世界を体験できるホテル「スター・ウォーズ:ギャラクティック・スタークルーザー」の模型

ディズニー・ワールド・リゾートでは、50周年を記念するイベント「世界で一番マジカルなセレブレーション」が今月1日から始まり、「マジック・キングダム」のシンデレラ城をバックに新たなナイトタイムスペクタキュラー「ディズニー・エンチャントメント」がスタート。また、「エプコット」に映画「レミーのおいしいレストラン」をテーマにした4Dアトラクションもオープンしました。来年は映画「トロン・レガシー」をモチーフにしたアトラクションや世界最長の屋内型コースターとなる「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:コズミック・リワインド」のオープンも控えています。そして今もっとも注目されているのは、来春に開業する映画「スター・ウォーズ」をテーマにした体験型ホテルです。ゲストは宇宙船に2泊しながらどっぷりと「スター・ウォーズ」の世界に浸かることができると言われており、これまでにないスタイルの旅を楽しむことができそうです。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)