前回のコラムでインフレについてレポートしましたが、小室夫妻のニューヨーク移住でアメリカの生活費ってどれくらいかかるのか話題になっているようなので、今回はここロサンゼルス(LA)の物価についてレポートしたいと思います。今年6月に発表された世界最大級の組織・人事コンサルティング会社マーサーの2021年世界生計費調査の都市ランキングでニューヨークは全米最高となる14位、それに続いてLAは20位に選ばれているので、比較するとニューヨークの方がLAより物価は高いですが、昨今のインフレの影響でここLAでもかなり物価は高騰しています。ちなみに、このランキングの1位はトルクメニスタンのアシガバードが1位、2位は香港、3位はレバノンのベイルート、そして4位に東京がランクインしています。ただ、LAに住んでいて感じることは、日本の方が(もちろん東京と地方では異なりますが・・・)物価が安いのでは?という率直な疑問です。

●消費税

アメリカには消費税というものがなく、代わりに小売売上税という税金があります。日本では消費税は全国一律で10%ですが、小売り売上税は州や郡、市など地域によって異なります。ニューヨーク市では8.875%ですが、LAは全米で最も高い9.5%になっています。ただ、生鮮食品などの食料品(弁当などの加工食品や外食は除く)には税金はかかりません。

●家賃

賃貸不動産プラットフォームZumperによると、11月20日現在のマンハッタンの1ベッドルーム(日本の1LDK)のアパートの家賃平均は$3525ドル。115円で換算すると40万5000円ほどになります。ちなみに、小室夫妻が暮らすヘルズキッチンの平均家賃は4000ドル(日本円でおよそ46万円)だそうです。そして、ここLAの平均家賃はというと、2195ドル、日本円で25万2500円ほどになります。ビバリーヒルズやハリウッドヒルズ、ブレントウッドなどの高級住宅地では平均家賃は35万円を超えるなど、上を見れば切りがありません。ただ、車社会のLAでは駐車スペースは家賃に含まれているところがほとんどです。

LAでは家賃は治安に比例すると言われ、エリアによって相場は全く異なりますが、東京では探せば23区内でも10万円以下の物件を見つけることができますが、ここLAでは10万円以下で借りられる1ベッドルームはまず見つかりません。治安が極端に悪い地域ですら、1500ドル(約17万2500円)Upというのが現在のLAの不動産の状況です。

広大なLAはエリアによって家賃相場にも大きな違いがあります
広大なLAはエリアによって家賃相場にも大きな違いがあります

●光熱費

住んでいるエリアによって夏のエアコン代が月1万円超えという家庭もありますが(砂漠地帯のLAは夏40度近くなる地域も多い)、電気代とガス代(ガスがないアパートも多い)で1ベッドの一人暮らしなら月60~100ドル(約6900~1万1500円)くらいと言ったところでしょうか。LAのアパートでは水道代は家賃に含まれているところも多く、他にはインターネット代やケーブルテレビ代などで月1~2万円くらいかかります。

●外食

LAでの外食は、日本人が想像する以上に高額です。ファストフード店でもセットメニューを頼めば10ドル超えも珍しくありません。マクドナルドのビッグマックは日本では390円で販売されていますが、LAでは税金を含めると5ドル超え(約575円)です。ベーカリーのクロワッサンが4ドル(約460円)、ケーキやパイが8ドル(約920円)前後くらいで、カフェでランチをしようと思えばサンドイッチやサラダでも10ドル超えは当たり前。そこに税金とチップ(税金前の金額に対して18~20%)を加算すると20ドル近くなります。ラーメンは1杯15ドル以上、6歳未満の子供2人を含む家族4人で高級でもない普通の日本食レストランで焼き鳥を食べて300ドルかかったと言った話も聞きます。ステーキなら50ドル超えは普通で、ワインなども頼むと優に100ドルはします。

ファストフード店のハンバーガーセットも10ドル超えが普通に
ファストフード店のハンバーガーセットも10ドル超えが普通に
こんなランチなら3000円くらいします
こんなランチなら3000円くらいします

●スーパーの食材

日本の食材はLAでも色々手に入りますが、物によっては日本の倍から4倍近くします。例えば、キューピーマヨネーズは5ドル(約575円)近くしますし、納豆も3個入りパックが安いものでも2ドル(約230円)くらい、1.5リットルのお茶のペットボトルが5ドルくらい、日本から輸入している醤油なら500mlで10ドル(約1150円)前後くらい。輸送費も値上がりしているので、食材の値段も日々上がっています。韓国系や中華系マーケットなら野菜や肉が少し安く買えたりもしますが、これも場所によりけりと言った感じです。CNNによるとインフレで牛肉やベーコンは前年比20%増しになっているそうですが、ベーコンは340gで7~10ドルくらい(約800~1150円)、牛の合いびき肉は228gで7ドル前後、ステーキ肉453gで12~20ドル(約1380~2300円)くらいというのが相場。キャベツ1玉2ドル(約230円)、ミニトマト1パック5ドル、オーガニックレタス4ドル、ホウレンソウ1束2ドル。日本のきゅうり3本パック5ドルなど、オーガニックかどうかや買い物する場所によっても違いますが、野菜はだいたいこんな感じの値段です。

スーパーの総菜コーナーのパスタやラザニアも1000円くらいします
スーパーの総菜コーナーのパスタやラザニアも1000円くらいします
イチゴはこの量で1箱15ドルくらい
イチゴはこの量で1箱15ドルくらい

●交通費

車社会のLAでは車移動が主な交通手段となっていますが、現在のガソリンの平均価格は1ガロン(約3.78リットル)あたり4.6ドルくらい(約537円)。LAのメトロ(電車)やバスは、1回の料金(距離に関係なく)が1.75ドル、200円ほどです。1日乗車券は7ドル(約800円)で、4回以上乗るならお得な値段設定になっています。ちなみにニューヨークの地下鉄は2.75ドルで、LAよりも高いです。

広大な土地のLAではタクシー代もそれなりにかかります。コロナ禍で労働者が減ったことやガソリン代の高騰などもあり、配車サービスも以前のような安価では利用できなくなっています。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)