今年もいよいよアカデミー賞の季節がやってきました。現地時間24日朝に第95回アカデミー賞のノミネーションが発表され、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が最多となる10部門11ノミネートを果たしました。今年のノミネーションも、「トップガン マーヴェリック」で主演男優賞での候補入りが期待されたトム・クルーズが選考から漏れるなどサプライズもありましたが、授賞式は3月12日(日本時間同13日)にハリウッドのドルビー・シアターで行われます。

ガラス張りの球体の屋上からはハリウッドが一望
ガラス張りの球体の屋上からはハリウッドが一望

映画の都ハリウッドを有するロサンゼルス(LA)には、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーによる映画の歴史や技術、文化、芸術、科学をテーマにした博物館があります。LAカウンティ美術館やピーターセン博物館など文化芸術が集まるハリウッドやビバリーヒルズに近い「ミラクルマイル」と呼ばれる地区に2021年9月末にオープンした待望の映画専門博物館で、同アカデミーが所有する膨大なコレクションが展示されています。関西国際空港旅客ターミナルを設計したことで知られる著名建築家レンゾ・ピアノ氏が設計を担当し、1939年に建設されたアール・デコ建築ストリムラインモデルの歴史的建物サバン・ビルを取り壊すことなく、修復。新たに建物の北側に建設された巨大なガラス張り球体の屋上からは、ハリウッドの街も一望できます。

巨大なジョーズの模型がお出迎え
巨大なジョーズの模型がお出迎え

映画のキャラクターもたくさん展示されています
映画のキャラクターもたくさん展示されています

1階から3階は「ストーリーズ・オブ・シネマ(映画の物語)」と題した常設展で、4階が企画展のフロアになっています。最新鋭の設備とオーケストラピットを備えた1000人収容のシアターもあるほか、5階にはガラスの球体テラスと連携するブリッジがあり、ルーフトップから展望を楽しむことができます。さらに、本物のオスカー像を手に受賞の瞬間を模擬体験できるアトラクションも用意されており、多方面から映画制作の舞台裏に触れることができるハリウッドならではの博物館です。

本物の歴代オスカー像がずらりと並ぶ圧巻の展示
本物の歴代オスカー像がずらりと並ぶ圧巻の展示

アカデミー賞授賞式の歴史が一目で分かる展示コーナー
アカデミー賞授賞式の歴史が一目で分かる展示コーナー

最大の見どころは、実際の撮影で使われた衣装や小道具、脚本やデザイン画、キャラクターの展示です。スティーブン・スピルバーグ監督の「ジョーズ」の撮影で使用されたサメの模型や「E.T.」や「スター・ウォーズ」シリーズに登場するR2-D2などのキャラクター、「ブラックパンサー」などヒット作品の衣装や「エイリアン」「ターミネーター」など人気作品に関する展示もたくさんあります。また、「オズの魔法使い」で使用された主人公ドロシーの赤い靴やヒッチコック監督の「北北西に進路を取れ」の撮影で使われた巨大なラッシュモア山の石像を描いたバックドロップなど、ハリウッドを代表する名画にまつわる展示も多く、往年の映画ファンにはたまりません。700もの作品を集めたダイジェスト映像をマルチスクリーンで上映するコーナーではハリウッド映画の歴史を振り返ることができ、ジェームズ・キャメロン監督による「アバター」のモーションキャプチャーを使った撮影の舞台裏が見られるなど映画制作の過程に触れることもできます。ブルース・リーに関する展示や映画誕生以前の動画装置や幻灯なども見どころの一つです。

レゴで作られたオスカー像も
レゴで作られたオスカー像も

もちろん、90年以上に渡るアカデミー賞授賞式の歴史を振り返る目玉コーナーもあります。過去の受賞者のスピーチ映像をはじめ、授賞式でスターが着用した衣装、プレゼンテーターが檀上で開封する受賞者の名前が記された紙が入った封筒、授賞式の舞台設計などが展示されており、年代ごとに変化してきたオスカー像も壁一面に並んでいます。ハリウッドならではの博物館は、LA観光の新名所としておすすめです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)