ロサンゼルス(LA)・ドジャースの本拠地ドジャースタジアムで3日、ファン感謝デー「ドジャー・フェスト」が開催され、約3万5000人のファンが集結。車で1時間ほどのお隣アナハイムに本拠地を構えるエンゼルスから移籍した大谷翔平投手が初めてドジャースの選手としてファンの前に姿を見せるとあり、会場は興奮の渦に包まれました。

LAにしては珍しく寒空の下での開催となったもののブルーに身を包んだファンたちが集結
LAにしては珍しく寒空の下での開催となったもののブルーに身を包んだファンたちが集結
デコピンの姿はなかったものの、会場にはこんなかわいい来場犬が
デコピンの姿はなかったものの、会場にはこんなかわいい来場犬が

ドジャー・フェストはこれまで無料で一般開放されてきましたが、今年は初めて有料化され、入場料10ドルが徴収されることに。これにLAタイムズ紙は、「なぜ今年から有料になるのか」球団に問い合わせたが、回答は得られなかったと報じ、ネットでも「子どもは無料にすべき」「もうファンフェスタとは呼べない。単なるフェスタだ」「佐々木(郎希=ロッテ)獲得のための資金集め」などの批判が上がっていました。一方で、「大谷と山本(由伸)にはそれだけの価値がある」「殺到するファンをコントロールするには仕方がない」「有料になったと文句をいう人は行くな」などさまざまな反応が寄せられていました。

それでも大谷投手のお披露目とあり、チケットは完売。開門の午前11時から続々とファンが集まり、大谷投手をはじめとする選手やデーブ・ロバーツ監督らがステージ上でトークやファンからの質問に答える90分間にわたるショーが始まる午後2時前にはフィールドも異常な人だかりとなりました。

笑顔でインタビューに応じる大谷投手にファンは大興奮
笑顔でインタビューに応じる大谷投手にファンは大興奮

自由に球場内を散策したり、名物ドジャードックを食べたり、ビールを飲んだりしながらお目当ての選手の登場を待つのがフェスの楽しみ方で、選手とのサイン会やグッズ販売などを楽しみに毎年訪れるファンも多いようです。フィールドでは寝転んだり、座りながら選手たちの登場を待つなどピクニック気分のファンたちの姿もあり、なんともアメリカらしい雰囲気。大谷投手のTシャツやユニフォーム姿の人も多く、期待度が高いことも分かります。

終盤にロバーツ監督に続いてようやく水原通訳と共に登壇すると、待ちわびたファンたちから「ショーヘ-!」の叫び声が上がり、同時にほぼ全員が一斉にスマートフォンを頭上にかかげて撮影を始めるという、ものすごいカオスな状況に。さながらハリウッドスターが登場するレッドカーペットのような盛り上がりで、改めてその人気ぶりを肌で感じることとなりました。

ステージに登場した大谷投手のインタビューを見守るファンたち
ステージに登場した大谷投手のインタビューを見守るファンたち
フィールドに降りて選手の登場を待つファンたち
フィールドに降りて選手の登場を待つファンたち

トークショーでも、ファンたちの心をわしづかみにする場面がありました。好きなハンバーガーについて聞かれると、LAでもっとも愛されるチェーン「イン・アンド・アウト」の名前をあげたことに会場は大歓喜。LA発祥のチェーン店で近年は西海岸近郊の他州にも進出しているものの、少し前までLA近郊でしか食べられなかったカリスマ的人気のイン・アンド・アウトが好きと答えたことに親しみを感じたファンも多かったようです。

また、水原通訳との関係をいたずらっぽく笑いながら「ビジネス」と語り、「友達ではない。割り切って付き合っています」とユーモアたっぷりに話すなど、絶妙なトークでもファンを沸かせ、ジョークのセンスの良さも話題になっています。

選手のサインを求めるファンたちの人だかり
選手のサインを求めるファンたちの人だかり
大谷投手と山本投手のTシャツは大人気
大谷投手と山本投手のTシャツは大人気

大谷投手と同じく今季からチームに加わった山本投手の姿はありませんでしたが、会場では2人のTシャツを売る特別スタンドが登場。ブースには大勢のファンが集まり、飛ぶように売れていました。1人で何枚も買う男性の姿などもあり、イベントが終わる頃にはサイズ切れになる品も出るなど、日本人のみならず、現地の人たちの間でも人気が高まっています。

LAタイムズ紙によるとメディアの数も例年の比ではなく、180人の記者が集まったとのこと。これも異例のことで、SNS時代にスポーツの枠を超えた野球界初のスターとしてハリウッドのおひざもとでセレブ級の注目を集めたと伝えています。

3月20日に韓国で行われる開幕戦もチケットの争奪戦がニュースになっていますが、大谷投手の活躍を地元ファンたちも心待ちにしています。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)