大鳥居は海に浮かんでいるか、否か。答えは宮島に着く前に分かる。宮島口を出発したフェリーは厳島神社の脇を通る。この時は「否」。干潮で、大勢の観光客が鳥居の周辺を歩く様子が見えた。数分後、フェリーは宮島に着く。


フェリーから眺める厳島神社
フェリーから眺める厳島神社

奈良公園ほどではないものの、宮島にはたくさんのシカがいる。島全体で数百頭が生息し、増え続けた時期もあるという。自然のバランスを守るためにも、シカへのエサやりは禁止されている。シカは人が近づいても動じない。つい構いたくなるけれど、ダメなものはダメ。海外からの観光客も多いけれど、こっそり餌付けをしている人は誰もいない。世界遺産の島は皆に守られている。


宮島のシカと厳島神社の鳥居
宮島のシカと厳島神社の鳥居

潮は依然、引いている。階段を下りて踏みしめる大地は、普段は海。数時間前にここは海で、数時間後にはまた海になる。厳島神社は「海に浮かぶ大鳥居」が有名である一方、「干潮の時だけに行ける大鳥居の下」というロケーションも、観光客にはたまらない。写真なら前者、観光なら後者、ではないだろうか。普段行けない場所はそのまま「非日常」でもあるのだ。


潮が引いた厳島神社の大鳥居
潮が引いた厳島神社の大鳥居

厳島神社の境内に入る。赤だけがダイレクトに目に飛び込む。「まぶしい赤」の第一印象が、少し慣れてくると「厳かな朱色」に変わってくるから不思議だ。天井高はしっかり2メートルほどは確保されているものの、ぶつかりそうな気がして自然と腰が曲がる。厳かな気持ちにさせられるのは、そういう設計上の理由もあるのかもしれない。


世界遺産・厳島神社の境内
世界遺産・厳島神社の境内

錯覚か。社殿は廻廊で結ばれる。支えるたくさんの朱塗りの支柱が、1つも交わっていないように見える。たまたまなのかもしれないけれど、十分計算された景観のようにも思う。寝殿造りの様式とはこういうものなのか。神社の本殿の広さとしては日本一だという。この素晴らしい社殿を築くのに、どれだけの年月がかかったのだろうか。修理するだけでも数年かかるという。


赤い支柱はほとんど交わっていない
赤い支柱はほとんど交わっていない

鳥居に本殿に、朱の絶景ばかりが目に入る。首が疲れて、ふと足元に目をやると、厳島神社の床板にすき間があることに気がつく。調べると高波、高潮があっても水圧を建物全体で受けないよう、受け流すように計算されてのすき間だという。さすが世界遺産、すき間はあっても「隙」はない。素人には気付きようがない「本物」が、至るところに散りばめられているのだろう。【金子真仁】


厳島神社の境内から眺めた鳥居
厳島神社の境内から眺めた鳥居

「厳島神社」へ行くには?

広島駅からJR山陽本線で30分少々の宮島口で下車し、2~3分歩くとフェリー乗り場があります。2つの会社がフェリーを運航していますが、料金は同じ、ダイヤはうまい具合にずれています。宮島でフェリーを下り、徒歩5分ほどで厳島神社へ。境内は一方通行なので、干潮時は先に鳥居下へ進むのがおすすめです。


Wonderful View No.122 “The Itsukushima Shrine”

The Itsukushima Shrine of Hiroshima is registered with a world heritage. It was built with a Japanese tradition style. A cinnabar red main shrine is impressive.

At the time of high tide, the torii seems to float in the sea. At the time of ebb tide, we can walk to the bottom of the torii.


[DATA]

Address: 1-1, Miyajima-cho, Hatsukaichi-shi, Hiroshima-ken

Access: About 10 minutes by ferry from Miyajimaguchi

Parking: For several hundred cars near ferry station