ヘラブナ釣り初心者や、これから始めようという方にお届けする「藤井秀和のヘラブナ釣り講座」。4回目は「実践編その2」です。ついにエサを付けて仕掛けの投入です。少し緊張する一瞬。ウキがスーッと立ち、エサの重みがかかってエサが底に着くと、さあ、いよいよヘラブナ釣りのスタート。アタリを待ち、しっかり合わせを入れ、慎重に取り込みましょう!

 ◆エサ付け 最初は軽く指先で握った程度でエサを付けて下さい。ここで注意することは、決して練らないことです。練ったエサは開きが悪く、魚の寄りも悪くなります。両エサが底に着くとウキは静止しますが、底は平らではなく凹凸があることを覚えておいてください。また、エサの大小によってもウキのナジミ(注1)方が違います。一定の大きさ、硬さでエサ打ちすることをおすすめします。

 ただ、魚が寄ってきた時は魚のアオリなどで若干、ウキのナジミが浅くなります。先ほどの記述とは矛盾するようですが、このときは少しエサのエアを抜くようにもんでエサを押さえて下さい。私の場合、ウキのナジミは2~3節になるように設定しています。

 また、アタリが出ても魚が掛からない、あるいはスレ(注2)ばかりになるという場合は、底が掘れているか上ずり(注3)が原因なので、少しウキを上げ(ズラシ幅)、深くしてみて下さい。またエサが使用時より粘り(ベタつき)を感じた時は、バラケ性が失われているので、新しく作り直した方がいいでしょう。

 ◆アタリの合わせ方 サオを握っている手を少し前に突き出すように、軽く合わせてみて下さい。きつく合わせるとハリス切れしたり、仕掛けが絡んでしまいトラブルの原因となりますので注意が必要です。

 ◆アタリの取り方 なるべく両エサが底に完全に着くまで待って(一瞬ですがウキが静止します)ウキが返してからのアタリを取って下さい。ただ、早いアタリでどんどん釣れてくる時合もありますので、場合によっては取ることもあります。ウキがなじむ途中のアタリを取って釣れた時はいいですが、空振りをしたときにはグルテンが舞い上がり魚が底から離れてしまいます。これは上ずりの原因となります。また合わせても魚が掛ってこない時は、アタリを見送るようにして、2度目のアタリ、3度目のアタリを取るようにしていくといいでしょう。

 ここで1つ、グルテンをブレンドすることをおすすめします。どうしても上ずりが防げない場合などは、新しくエサを作るときに、少し重めのグルテンを加えるのです。そうすると、魚を確実に底に落ち着かせ、食いアタリを出せると思います。使用しているエサの水分量を減らして、硬めにする方法もあります。

 ◆取り込み 魚が掛かった(釣れた)ときは、強引に引っ張るとハリス切れなどの原因となります。魚は前後左右に引きますが、慌てないでサオを少しずつ立てて下さい。魚が浮いてきて口が水面に出たら、静かに寄せてきてタモに滑り込ませて下さい。ヘラブナ釣り教室で、初心者の方が苦労されるのは取り込みのときでもあります。魚を掛けた時、先にタモを入れ魚を追いかけ回す光景を良く見ましたが、これではうまく取り込めません。

 ◆注1 ナジミ=エサ落ち目盛りより上の目盛りが、エサの重さで沈むこと。

 ◆注2 スレ=魚の口以外にハリが掛かること。

 ◆注3 上ずり=釣っている水深(タナ)よりもヘラブナが浮き、タナが上がること。