天笠充選手(椎の木湖)がV2を達成! 加えて過去15年で7回目となる表彰台の獲得は、他魚種でもない偉業となった。「第40回G杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権」(主催・株式会社がまかつ)が10月21、22日に千葉・柏市の清遊湖で予選を勝ち抜いた30選手(シード含む)が参加し、ヘラブナの総重量を競った。22日の午後1時10分からの決勝戦は6選手で2時間20分戦い、天笠選手が8尺竿の浅ダナセット釣りで31・38キロ(62匹)を釣り上げ、2位の都祭義晃選手(甲南へらの池)に3匹、910グラム差で逃げ切った。3位には、25キロ(47匹)の伊丹信人選手(ひょうたん池)が入った。

狙い通りに勝ち取った2度目のG杯。優勝者がコールされると天笠選手が両手の拳を握り絞めてガッツポーズを繰り出した。「しっかり準備し、表彰台に立っている姿をイメージして戦った。最高です」と喜びを爆発させた。がむしゃらに頑張った8年前の初優勝の時は涙目だったが、今回は得意とする浅ダナのセット釣りを進化させ、自信に満ちあふれた会心の勝利だ。

取り組んできたのは「両ダンゴに負けない」強いセット釣り。魚がわいても、ダンゴを小さくしたり、しめたりする消極的な対応は封印。大きなダンゴ(10円玉大のしっとりしたボソタッチ)をどんどんタナに打ち込み、強いアタリを引き出していくことを貫いた。

勝因はオモリをしっかり背負って餌をタナに入れ、スレアタリを抑える大きなウキ。トーナメンターでウキ師の吉田康雄氏とともに3年間にわたって試行錯誤を重ねてきたウキが、次々に鋭いアタリをとらえた。

決勝の前半は下針で食わせ、ヘラがわき出すとダンゴアタリに集中。横揺れを防ぐ太いボディーと太いパイプトップのウキでしっかりタナに餌を届けダブルで食わせる場面も。ヘラの活性に合わせ、ダンゴアタリも積極的にとっていくハイブリッドなセット釣りで両ダンゴで数を伸ばす都祭選手を910グラム差で抑えた。

優勝インタビューでは「強いセット釣りにこだわり、結果を出せたので、すごく満足です。100点満点の釣りが出来ました」と大喜び。吉田氏も「よくぞやってくれた。2人でいろんなウキを考え、練習してきた。大会前日も、『こうしてこうなったらこうなるね』というのを早い段階で見つけられ、その通りになったのでうれしい」と2人で勝ち取った喜びをかみしめた。

浅ダナのセット釣りにこだわり、進化を続ける天笠選手。「まだまだ、セット釣りで思いついていないことがあると思うので、ずっとずっと研究していくことで、追いつかれないと思っている。走り抜きます。連覇を狙う」ときっぱり。一念天に通ず。目標を定め、1つの技を極める努力が冬の釣りとされるセット釣りを万能な釣法へと導いた。【近江康輔】

◆天笠 充(あまがさ・みつる)1971年(昭46)4月4日生まれ、47歳。千葉県船橋市在住。会社員。ヘラブナ釣り歴は18年。ホームグラウンドは清遊湖、千葉の富里の堰。所属クラブは富里の堰釣行会。G杯の成績は優勝が8年ぶり2回目、準優勝2回(07、16年)、3位3回(04、06、13年)を誇る。

◆天笠選手の餌 バラケ=「粒戦」100「粒戦細粒」50、「セットガン」100、水200、「GTS」50、「バラケマッハ」50、「軽麩」50。数字の単位はcc。クワセ=「感嘆」とコカコーラを1対1で溶いたもの。