近年、大人気のイカメタル。初夏のシーズンインを待ち切れないという人も多いのではないでしょうか。記者もその1人。先日、ヤリイカを狙おうと、福井・若狭大島の「川口渡船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で同沖へ夜釣りに出た。厳寒期だけにイカが浮くほどの活性はなく、底べったりの釣りだったが、誘ったあとの待ち時間を長めにとるとパラソル級が数多くヒット。竿頭で20~35センチを25匹釣り上げた。条件が良い日なら50匹ほど釣れており、数、型ともに期待できる。【近江康輔】

ヤリイカはソフトな誘いとロングステイ(長い止め)がすごく大事だった。触腕(しょくわん)が短いイカだけに捕食が下手なようで、ケンサキイカ以上に長く待たないとなかなか乗ってくれない。ポイントは大島沖の浅グリ周辺で水深は約60メートル。活性が上がってきたのは午後8時ごろから。デリケートなイカで手ごわいが、コツをつかんだ人は入れ掛かり。

胴突き10本針仕掛けでベタ底を狙う船首の常連・川谷浩さんは3分に1回のペースで長い船竿をしゃくっては、30号の軽いオモリでふぁーっと浮きスッテを落とし、じっくり待つ釣り方で5連掛け。その後も連掛け交じりで釣果を伸ばす。

左舷では、イカメタルにはまっている宝塚の夏目諭吉さんが技をみせた。なんと、20号のイカメタルをベタ底に置き、道糸を緩めたり張ったりして誘いをかけたあと、浮きスッテをフカセ気味に漂わせるロングステイで好調に釣っていく。

一方、記者はまったくアタリなし。水温が低いので底付近を狙ってはいるのだが、まさかベタ底とは…。誘いもかけすぎで、ステイの時間が短かくなっていたのが失敗だったようだ。それならと夏目さんをまねてみるとすぐにコツコツという前アタリをキャッチ。

ヤリイカがスッテをさわりにきたサインだ。そのまま、焦らずにじっくり待ち、浮きスッテを抱いて竿先が押さえ込まれてから合わせると35センチのパラソル級がヒットした。なるほど。

船尾でも、日刊FPCの兵頭良弘さんが同様にアタリをとらえ、スローな引き上げで25~30センチをトリプル掛け。隣では誘ったあとに5分を超えるロングステイで気長に釣っている吉岡昌史さん(福井市)もダブルで釣り上げてにんまり。

まさに短気は損気というか、攻めてもダメなら引いてみろという感じ。この日は僚船のトップが10匹ほどと全体的に渋かったようだが、竿頭の川谷さんは20~35センチを25匹ゲット。記者もなんとか6匹キープ。ヤリイカに「誘ってばかりはダメよ。じっくり待ってたら乗ってあげる」って言われているような気がした。

【問い合わせ】川口渡船【電話】090・8969・7909。イカ、五目釣りの乗合船料金は1万3000円~。半夜のマダイ、イカ釣りの仕立船料金は5人まで6万5000円~(1人増5000円)。エサ、仕掛け、氷は別料金。出船、納竿時間は要確認。ほかにも、FCビッグワン(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】090・3767・1130がある。

【交通】舞鶴若狭自動車道の小浜西ICを出て国道27号を西へ。青戸大橋の信号を右折。県道241号を道なりに走り、トンネルを2つ抜け、右手に入り江が見えてきたら右折。海岸沿いの道を進むと左手に川口渡船があり、向かい側が乗船場。