令和初の年間チャンピオンが決まった。日刊スポーツ新聞社指定「東北釣り共栄会」(釣り速報◎印)の加盟各店で開催していた「2019年日刊スポーツ盾争奪・船釣りダービー」の優勝者が出そろった。開催6年目は各店ごとに指定魚を設定。賀都屋・明神丸(福島・相馬港)ではヒラメ釣り初挑戦で90センチジャストを仕留めた新妻(旧姓・佐々木)若奈さん(27=宮城・名取市)が初タイトルを獲得するなど、計7大会で激戦を展開した。各優勝者には日刊スポーツ盾とオリジナルのジャンパーが贈られる。【取材・構成=佐々木雄高】

<賀都屋>

遊漁船「明神丸」(11トン)でヒットした全魚種を対象にして相対的に審査。ヒラメ釣り初挑戦、船釣り自体3度目で座布団ヒラメ90センチをゲットした新妻若さんが年間王者に輝いた。今年2月下旬、交際中だった新妻祐太さん(27)と結婚。「釣りデート」を重ねて愛をはぐくみ、旧姓の佐々木から文字通りの「新妻」になった。

大物ヒットは昨年9月1日、祐太さんの父で、明神丸の常連の克己さん(48)と3人で乗船。午前8時過ぎ、右舷中間でいきなり87センチをヒットし、さらに終了間際に自己記録を更新した。この日は大小合わせて1人で10匹以上をヒット。夫と義父を尻目に、男顔負けの「ヒラメキラー」ぶりを発揮した新女王は「写真を撮られる間は重かった。(釣りは)リフレッシュになり、釣れた時はうれしい。食べても新鮮でおいしいので格別」とフィッシャー・ウーマンの仲間入りした。

<晋漁丸>

清水務さん(70)が計152センチでヒラメ2匹の総全長勝負を制した。昨年7月10日に75センチ、同17日に77センチをヒットして初優勝した。晋漁丸の15年来の常連で毎週水曜、週1回ペースで乗船。「指定席」の左舷船首で船釣りを楽しんでいる。17日は大会3連覇中だった小原伸晃さん(47=宮城・塩釜市)も同船。18年の大会で3センチ差で敗れた相手に雪辱した。期間中何度でも入れ替え可能なヒラメバトル。清水さんは「(乗船の)回数が多くなれば(大型ヒットの)確率は高くなるが、みんなマメで研究熱心。次は90センチ以上を釣りたいね」と自己記録(82センチ)更新を目標に掲げた。

<鯛紅丸>

船釣り歴25年以上の落合清さん(56)がマダイ1匹の全長勝負を制し、第16代王者に輝いた。サオ納めになった昨年12月22日、自己最大の88センチ、9・7キロをゲット。大きさでは鯛紅丸の船中レコード(89センチ)に1センチ差に迫る歴代2位タイ、重さでは過去最高になった。

正午すぎ、新潟東港沖の水深80メートルラインでヒット。「タナは水深70メートルくらい。最初はブリと思った。ドラグを緩めながら巻き上げたら、途中で浮き上がった。いいサオ納めになった」と約10分間のやりとりを振り返った。オキアミをエサに片テンビン2本バリ(ハリス11メートル)のコマセ釣り。鯛紅丸から80・1センチ以上に贈られる乗船料1万円キャッシュバックもゲットした。マダイ中心に年平均30回前後、釣り場に通っており「サオ先が(海面に)刺さった時のやりとりが楽しい。これからもうまい魚を釣りたい」と旬の獲物も自宅の冷凍庫にストックする。

<三浦屋>

カレイ類1匹の全長を争う大物勝負は、ホシガレイ64センチ(3・09キロ)をヒットした菅原孝雄さん(79)が制し、初タイトル獲得だ。昨年2月11日、釣り仲間4人の仕立て船で釣行。右舷2番目でヒラメ以上の高値を呼ぶ高級カレイをゲットした。ヘラブナを含め、釣り歴30年以上。三浦屋の常連でヒラメや深海釣りもこなす。過去ババガレイ(ナメタ)65センチ超の記録を持つ。大ベテランは「午前10時ごろ、最初にガンときて。あとはスイスイ上ってきた。船頭が慌ててタモ(玉網)ですくってくれた」と、釣果から10カ月以上の逃げ切り優勝を振り返った。

<善松丸>

全魚種を対象にして開催。昨年11月3日、ルアー釣り(ジギング)乗合船でサワラ80センチと77センチをヒットした嶋田金義さん(75)が「合わせ技1本」で初優勝した。船底直下を狙うバーチカル・ジギング。午前10~11時、ブルーとピンク系のメタルジグ80グラムを使って連続ヒットした。カレイ釣りも好きな嶋田さんは「かなり強い引きだったので船長にタモ入れを頼んだ。ロッドの硬さやジグの色や形、誘い方もいろいろと試して釣れた時に満足感がある」と釣りの魅力を話した。

<えびす屋釣具店>

笹原康昭さん(73)が年間王者に輝いた。昨年3月30日、仙台湾・大型漁礁沖で自己最大のイシガレイ63センチをヒットした。大型遊漁船を釣り仲間6人で借り切って出船。終了間際の午後1時ごろ、「ちょっと焦った」という強烈なアタリ(魚信)を確実にものにした。この日は右舷船尾でマガレイとマコガレイを含む約40匹のカレイ類をゲット。50センチ級のイシガレイ2匹もヒットした。笹原さんは「引き強くて病みつきになる。刺し身にした。身が厚くて食べ応えがあった」と釣り味ともども振り返った。

<謙信丸>

カレイ類が対象だった前年度からアイナメの全長勝負に切り替えて開催。昨年12月22日、五目釣り乗合船で50センチジャスト(2キロ)をヒットした井上哲さん(74)が初優勝した。10年前の自己記録(55センチ)に続く記録。11月下旬に48・5センチをヒットして大会連覇に王手をかけていた武田正彦さん(66=仙台市)を1・5センチ上回って逆転した。ともに謙信丸の常連。武田さんを師と仰ぐ井上さんは「師匠を抜いてしまった。アイナメは技術の差が出るので難しい。工夫して釣れた時は満足できる」と、サオや仕掛けを改良しながら「アイナメ道」を追求する。