早くも握り応えのある良型のキスが釣れだした福井・小浜湾へ先日、若狭本郷の「はやし渡船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の船で出た。まだ、水温が低く、餌追いは弱かったが、誘ったあとの食わせの時間を長くとるとコンスタントに良型がヒット。時折、ダブルもあり、竿頭で15~23・5センチを41匹釣り上げ、4人では同型を111匹の好釣果だった。まだまだハシリの状況で群れが大きくなるのはこれから。水温が上がるにつれてキスの活性も高くなり数、型ともに期待できそう。

「ブルブルブル、コンコンコン」。朝イチから、良型のキスが心地良いアタリ、引きでお出迎え。春のキスは水温が低いために食いが浅くて気むずかしいところもあるが、釣れれば20センチを超える良型が多く、短いボートロッドを激しくたたく引きがやみつきになる。

山々に囲まれた小浜湾はロケーションが抜群に良く、海も穏やかなことからキス釣りファンのリピーターが多い人気スポットだ。ポイントは砂地が広がる蒼島の周辺(水深6~15メートル)。朝は風がなく、潮の流れもゆるかったため、ちょい投げでキスの群れを探していくとベテランたちがすぐにアタリをキャッチ。

手慣れたもので10メートルほど軽く投げ込み、ゆっくりさびいては長めに仕掛けを止めてアタリを待ち、21、23センチを2連掛け。「このサイズのダブルは春の時期ならでは。今年は釣れだしが早いから期待できそうだね」。常連の渡辺さん(福知山市)が握り応えのある太いキスを手に笑みをこぼす。

初期のキスは早合わせは禁物。まだ水温が低いので、キスの餌追いが弱いため、アタリが出たあとは少し待ってやることが大事。早く合わせると空振りになってしまう。そんなスローな釣りを心掛けて釣っていくと時折、キスの群れをとらえてバタバタと竿が曲がり、群れから外れるとぴたっと食いが止まる繰り返し。

東の風が吹きだした午前11時前からは、流し釣りで真下を釣っていくが、仕掛けが動きすぎてキスがなかなか餌を食ってくれない。そんな中、目を引いたのは大津市の田中さん。底を上下にたたく誘いでアタリをとらえると、道糸を少しずつ出して仕掛けを止め、20センチ前後をコンスタントに食わせていく。さすがベテラン。春キスの釣り方を心得た技が光る。他の人もオモリを重くするなどの工夫でポツリポツリと竿を曲げていき、キスアタリを堪能したところで正午ごろに納竿。竿頭は田中さんで15~23・5センチを41匹だった。

春はいかにして活性の低いキスに餌を食わせるかで釣果に差がでるところが面白い。加えて記録クラスの大物が出るのもこの時期の魅力。毎年、数匹は尺クラスが釣れるのでこれから初夏に向けて狙い時ですよ。

【問い合わせ】はやし渡船【電話】0770・77・0591。乗合船6000円、仕立船は5人まで3万円、1人増し6000円。釣り時間は午前6時~正午まで。仕掛け、エサ常備。

【交通】大阪から中国自動車道、舞鶴若狭自動車道を利用。小浜西ICを出て国道27号に入り舞鶴方面へ約3キロで右側に同渡船。

【今後の見通し】初期は良、大型キスの好機。シーズンを通して大型は釣れるが、特に産卵期の7月半ばまでが狙い目。それ以降は水温が安定してくるのでキスの食いが活発になって小、中型の数釣りが楽しめる。