千葉・内房でクロダイのトップシーズンが始まった。金谷「岡澤釣具店」(岡澤裕治店主=43)では沖磯の渡船を開始した。近辺には平島をはじめイタド島、ドラ下など、有望ポイントが点在する。すでに乗っ込みも始まっており、50センチを超えるサイズも夢ではない。日刊釣りペンクラブの磯釣り師、鵜沢政則さん(69)と一緒に上がった平島では、白石英一さん(48=埼玉県越谷市)が40センチ前後の良型を4匹釣り上げた。

スーッと立ちウキが海中に消し込んだ。「来たっ!」。平島の陸向きで白石さんが、体をのけぞらせて合わせる。偏光グラスを通して見える手前の白い砂地の奥にある根際で掛けた。午前8時40分ごろの下げ潮時、エサはコーン。35センチが姿を見せた。底をトントンと小突いて誘った。これが「白石デー」の始まりだった。

底までクッキリと見えるほど澄んだ潮も何のその。気は強いが用心深いクロダイは、根際にジッと潜んでいるはずとみた。「浮いているエサには反応しない」との判断も加わった。約1時間後、今度は同じコーンを底で20センチほどはわせた。何度も歯形をつけられ、気配はあった。手前の砂地から3メートルほど先の根際へと仕掛けを落とし込み続ける。直前、合わせ損ねもあったが、この時ばかりはしっかり掛けた。

ちょうど右から左へと向かっていた潮の流れが少し緩くなったタイミングだった。「ツンと来た最初のアタリで糸を張って、本アタリを待った。海面に沈むか沈まないかくらいのウキの微妙な動きに注目していた」と振り返る。

その5分後、右隣でサオを出していた宇畑好二さん(55=千葉県鎌ケ谷市)のサオにもアタリが伝わった。グイグイとサオ先を絞り込む。白石さんの2匹目とほぼ同じ40センチサイズ。「手前の砂地の部分にまき餌をして、少し待ってからオキアミの付けエサで遠投した。コマセと同調させず、時間差で落とし込んで誘った」と話した。

我慢の時間帯が続いても、2人の底攻めはあきらめなかった。潮目が変わって、上げ潮に転じた午後1時40分、白石さんが追釣した。今度は練りエサ。「仕掛けを安定させたかった」という。エサが底をはうか、トントンと小突くような状態を続けた。終了間際の午後2時45分、最後の1匹はこの日最大の47センチだった。「立ちウキがモゾモゾと、かすかに揺れていた。合わせのタイミングがバッチリだった」と笑顔を見せた。

同じ平島に乗った鵜沢さんは「エサ取り(ベラ、キタマクラなどの小魚)が多かったため、オキアミよりも仕掛けが安定するコーンや練りエサに分があった」と分析していた。

日によって状況は刻々と変わるが、それをうまく読んで対応し、やりとりするのが磯のクロダイの魅力。5月の連休終了まで、沖磯渡船は楽しめる。【赤塚辰浩】

<鵜沢政則さんアドバイス>

鵜沢さんは今季について、「例年より半月ほどスタートが早い」と、分析している。すでに40センチ級が数匹上がっており数、型ともに申し分ないという。クロダイの型をみるためのアドバイスもくれた。

◆潮 澄んでいれば底狙い。ドン深で起伏の激しい根の際がいい。濁っていればタナ(魚の遊泳層)が浅くなる。ウキ下を1ヒロ~2ヒロ(少し幅を持たせて約1・5~3・5メートル)にして探る。

◆ウキ 平らな場所で振り込むなら立ちウキの方が、消し込む瞬間を見極めやすい。少し高い場所から仕掛けを落とすなら円すいタイプを使う。

◆エサ エサ取り対策として、種類を多めに。基本となるオキアミはLLが理想。尾を切って腹へと針を抜く。場合によっては2匹抱き合わせにする。練りエサは持ちが良く、底に入りやすい。澄んで食いが渋い時は有利。コーンは海中で目立つのが利点。3つほどつないで掛ける。かじられたらつけ直す。新しい方がクロダイにアピールしやすい。

▼釣り宿 金谷「岡澤釣具店」【電話】0439・69・2232。沖磯の渡船は午前6時目安。4000円。http://www.koushin-group.jp/

釣り船の出船は午前7時。カワハギは氷付き8500円、アマダイ同9000円、ウイリー五目はコマセ・氷付き9000円。黄金アジ9000円(エサの青イソメと、コマセ・氷付き)。マルイカは要確認。