「大魔神」こと日刊スポーツのプロ野球評論家・佐々木主浩氏(53)が、サンケイスポーツ代表で還暦を迎えたニッポン放送の松本秀夫アナウンサーと、神奈川・小田原「坂口丸」(久保田忍船長=48)とキハダマグロで対決した。前回、日刊スポーツ指定の千葉・大原「力漁丸」でのオニカサゴ対決を制し、通算5勝2敗1分け。旬の大物をとの佐々木氏の選択希望で、対象魚種を指名した。「ホームランか三振か」の大物狙い。大魔神が力でねじ伏せるか。60歳にしてキハダ初挑戦の松本アナのビギナーズラックがさく裂か?

「あーっ!」。大魔神が相模湾に向かってほえたかと思ったら、頭を抱え込んでへたり込む。キハダとの大勝負で、ハリスを切られてしまった。逃した魚は大きいとは、まさにこのことだった。

たった1回のチャンスは、午前11時ごろに訪れた。左胴の間に陣取った大魔神の置きザオがしなる。「来たッ」。とっさにロッドの柄の部分を握って合わせ、やりとりを始めた。

キハダが掛かったのを周囲の船に知らせる「パトランプ」が点滅する。同船しているほかの12人は、仕掛けを回収する。邪魔しないでファイトしてもらうためのお約束だ。

「実は、プレッシャーに弱いんです」。5万人の大観衆の前で、クローザーとして息詰まる試合展開の中で投げていた時とは別物らしい。同船者が見守るなか、フッと仕掛けが軽くなった。「バレた。アワセがちょっと遅れた分、針掛かりが浅いかもしれません」と、悔しそうに切れたハリスを見つめた。

船内では午前9時20分ごろからにわかに色めき立っていた。「食った、食った」。左舷ミヨシ(最前方)で谷口典義さん(48)が第1号を掛ける。「置きザオで横走りされ、1度止まった時にキチンと合わせた」。20分のファイトの末、32キロが取り込まれた。

興奮冷めやらぬうちに、今度は右胴の間で阿部芳恵さんのサオにヒットした。2回ほど走られる。そのたびにサオの弾力と電動リールのトルクを頼りに、サオをあおって2~3メートルほど回収する。35分もの格闘で海面に見えてきたのはこの日最大62・5キロの「小田原モンスター」。ギャフが打ち込まれ、3人がかりで船内に引きずり込んだ。「残り30メートルまで巻いたのに、170メートルまで道糸が出された。そこからが重かった」とホッとしていた。

この後に大魔神がバラし、正午前後には右舷トモ(最後方)2番手の高橋将瑛(まさあき)さん(35)が51キロを確保した。「弁当を食べようとしたら、食っていた。魚の食い気の方が上でした」と笑っていた。

さて、キハダ初挑戦の松本アナはといえば、サオに「気」を送り込むもののアタリすらなし。「初めてキハダを釣っているのを見て感動しました」とコメントしていた。

「バラしたけど掛けた分、今回はオレの勝ちだろう」。帰港後、大魔神が再度ほえる。確かに内容勝ちでしょうが、結果はスコアレスドローということで。これで大魔神の5勝2敗2分けとなりました。【赤塚辰浩】

▼船 小田原「坂口丸」【電話】0465・22・8266。予約制の乗合で午前6時出船。氷1個付き1万1500円、コマセ3キロ1000円、付けエサは1パック600円。

※日刊スポーツの小田原の船宿は「弘美丸」【電話】090・8682・8573