日刊銀鱗倶楽部、芥川漁業協同組合主催「日刊スポーツ杯・芥川新春マス釣り大会」が3日、大阪・高槻市の「芥川放流釣り場」で行われ、178人が参加し、ニジマスの1匹長寸を競った。厳しい冷え込みだったが、迫力満点のマスが釣れるたびに歓声が上がった。ルアー・フライの部は71センチを仕留めた浦野正則さん(56=奈良・三郷町)が初優勝。エサ釣りの部は68・5センチを釣り上げた丹田清隆さん(79=高槻市)が2度目の優勝を飾った。総重量を競った「特別賞」はルアーで12・3キロを釣った塩地雄介さん(25=門真市)が獲得。エサ釣りの部は末広耕一さん(63=大阪市)が9・7キロで受賞した。【中村和嗣】

<ルアー・フライの部 浦野さん>

「こんなでっかいマスを釣ったのは初めて。新年早々、大当たりですわ」。優勝した浦野さんが71センチのスーパーレインボーを手に喜びを一気に口にした。朝からしわ流れに潜む大物を狙い続けるが、厳しい冷え込みで水温が低いせいか、スプーン、ミノー、フェザージグなど、いろいろ試しても、まったく反応なし。

日が高くなった午前11時ごろ、最後にメバル用バイブレーション(赤金)のただ引きでデカマスの鼻先を通すと小さなアタリをキャッチした。フッキングしたあとは3ポンドの細糸をいたわりながら必死に応戦。「まるでダンプカーに引きずり回されているような感じでした。ドラグをずるずるにし、5分ほどかけて慎重に取り込みました」とスリリングなファイトを振り返った。

勝因を聞くと「常にルアーやカラーに変化をつけ、目先を変えて攻め続けたのがよかったと思います」とにっこり。芥川には仲間と月に2回ほど訪れるそうで、昨年12月には新春マス釣り大会に向けて4回も釣行し、マスのヒットパターンを追求。その成果が見事に出た。

「ここは釣りだけでなく、河原でバーベキューや鍋ができるのもとてもいいんです。都心からも近くて便利。これからも仲間とわきあいあいと自然の中でマス釣りを楽しみたい。来年もでっかいマスを仕留めて優勝したいですね。いいお正月になりました」。毎年、この大会を心待ちにし、念願の初優勝を飾った浦野さんがうれしそうに話した。

<エサ釣りの部 丹田さん>

「今年は新年から釣りの神様に願いが通じました。昨年のリベンジもでき、万々歳です」。大ベテランの丹田さんが、前回の悔しさを吹き飛ばす68・5センチを釣り上げ、2年ぶり2度目の優勝を飾った。

連覇を狙った昨年は12位と不本意な成績に終わり、今年にかける思いは人一倍強かった。釣り場に入るとブドウ虫を餌にした脈釣りで挑戦。川の深場に潜む大物を狙った。3メートルほど手前から仕掛けを流し込み、鼻先で餌を浮かせて誘うが、なかなか口を使ってくれない。それでも、粘り強く誘い続けること7回目。ついに願いが通じてガツンとヒット。6・1メートルの長竿で重量感ある引きに応戦。5分ほどかけて慎重に岸に引き寄せ、スーパーレインボーをタモに収めた。「執念が実りました。のべ竿でのやりとりは疲れました。腕がパンパンに張ってますよ」。大ベテランが心地よい疲労感のなか、満面の笑みを浮かべながら話してくれた。

<特別賞 塩地さん>

ドヤ顔でクーラーいっぱいのニジマスを検量に持ち込んだ塩地さん。というのも、昨年、初めて新春マス釣り大会に参加したが、5位どまり。その悔しさが、負けず嫌いな性格に火を付け「今年は誰よりも数を釣り上げて1番になってやる」と奮闘。マスの反応を見極めながら、明るめの色からナチュラル、ダーク系へとスプーンを使い分け、デッドスローリトリーブにステイとフォールを織り交ぜるサイトフィッシングで12・3キロを釣り上げた。審査の結果、総重量トップの「特別賞」に選ばれるとにんまり。「来年も参加して重量勝負で勝ちます。サイズもでっかいマスを仕留めてトップを目指す」ときっぱり。連覇、2冠達成へ向け、鼻息が荒かった。

<特別賞 末広さん>

「きょうは最初から、数釣りを楽しもうと思っていたので、特別賞を受賞できてうれしいです」。9・7キロを釣り上げた末広さん(写真)が狙い通りの成果に満足顔を浮かべた。釣り方はブドウ虫を餌にした脈釣り。小型のマスをしっかり針に掛けるために1号針を使い、流れの切れ目や深場などに集まるマスを狙った。餌を底から少し浮かせながら流し込んでいき、上下に誘うとマスが次々にヒット。午前11時ごろまで入れ食いが続き、43センチを筆頭に40匹ほど釣り上げた。「今大会では数釣りを堪能できたので、来年は長寸で優勝を狙います」と新たな目標にむけて目を輝かせた。