脂の乗った平アジ(マアジ)を狙おうと19日、中紀・初島の「南村渡船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の仕立船で早朝から、常連の松井義樹さん(大阪市)と沖の島沖へ出た。この日は魚の群れが小さく、連掛けラッシュとはならなかったが、型はよく体高のあるプリプリの34~40センチを25匹ゲット。丸々太った36~43センチのマサバも18匹釣り上げた。これからはマルアジも期待大。数釣りが楽しめる。【中村和嗣】

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「昨年の5月に平アジを51匹、マルアジ、サバを含めると250匹ほど釣りました。今回は、マルアジよりも上等な平アジをいっぱい釣りたいです」。常連の松井さんがにんまり。釣れれば何でもいいと思っている記者とは貪欲さが違う。

初島の仕立船は船頭まかせの大名釣り。こんな釣りはほかにはない。仕掛けのセットから、糸もつれや、針ののみ込みなどのトラブルもおまかせ。手際よくサポートしてくれる腕のいい船頭がそろっていて信頼度は抜群。魚の群れも的確にとらえて釣らせてくれる。4本のチョクリ竿にセットした12本の疑似針で漁師さながらの魚釣りが体験できる。

早朝、水深約55メートルのポイントで開始すると網代船頭から「前の右の竿が当たってるで。上げてよ」と指示が飛ぶ。毎回思うが、船頭のアタリをとらえる動体視力はピカイチ。4本の竿を同時に見渡し、わずかな反応も見逃さない。松井さんが引き上げたのは40センチ級の丸々と太ったマサバだった。その後も、マルアジ交じりでサバが釣れ続く。

そんなとき、魚群探知機を眺めていた網代船頭が新たな群れを発見。さすがベテラン船頭。海の中が見えているよう。「平アジおったよ。ベタ底やわ」と素早く仕掛けのタナを変更してアタリを待つ。

すると、この狙いが見事に的中。松井さんが竿の微妙な動きに反応し、引き上げにかかると底へグイグイ突っ込む。「これは平アジや。よう引くわ」とにっこり。取り込んだのは体高のある39、35センチ。「プリプリの刺し身級やね。うまそうや。こいつが釣りたかったんや」と笑みをこぼす。

ここから底潮が動きだすと魚の反応もよくなり、連掛け交じりで平アジが釣れ続き、午前11時前の納竿までに34~40センチの平アジを25匹、36~43センチのマサバを18匹釣り上げて納竿した。獲物は船頭がすべて沖ジメにしてくれ、たつぷりの氷で鮮度抜群にキープ。まさに至れり尽くせり。初心者でも安心して船釣りが楽しめる。これからは数釣りの絶好機。1度、体験してみてはいかがですか。

<高級魚シロアマダイも狙える>

レンタルの船外機付きボート釣りもお薦め。ルアーマンに人気だ。最近注目を集めている高級魚・シロアマダイが狙える。大阪の吉田洵氏ら2人が19日、地の島沖に出てタイラバで30~48センチを11匹ゲット。ほかにも、ヒラメやブリにメジロのほか各種根魚がヒットしている。沖の島や地の島沖に出てマイポイントを開拓してみてはいかがですか。魚影が濃いので面白いですよ。

【今後の見通し】平アジ、サバは7月に入ると数が減りだすが、マルアジが最盛期を迎える。大きな群れをとらえれば、怒濤(どとう)の連掛けラッシュが味わえる。また、シオ(カンパチの幼魚)や、マダイ釣りも開幕するので楽しみ。

【問い合わせ】南村渡船【電話】0737・83・3730。仕立船の料金は2人まで2万4000円、1人増えると4000円追加。出船は夜明け前(出船時間相談可)。レンタル船外機ボート4人乗り1万4000円(小型船舶免許が必要)。