モデルでツリジョの“つ~ちゃん”こと利水つばさが、神奈川・鶴見「新明丸」(新明利勝船主=65)でスミイカ釣りに初挑戦した。同船宿ではスミイカの東京湾伝統釣法である「シャコテンヤ釣り」を守り続けている。今回はこの東京湾伝統釣法に挑戦だが、実はつ~ちゃん、エビが大の苦手。武骨だが優しい高橋英之船長(53)にシャコをセットしてもらい、挑んだ結果は?

スミイカのテンヤ釣りは、基本的にアタリはない。着底したテンヤをしっかり海底に固定させることでスミイカにテンヤを抱かせ、しゃくりのタイミングで引っかける、いわゆる“探り釣り”だ。「いろいろ調べてみましたが、1日に1500回はしゃくるともあったので、これは体力勝負だなと思って…」と話すと、服の胸部分にプリントされた文字“NEVER GIVE UP”を指さし、ほほ笑んだ。新明丸ではこれまでにマゴチ、フグ、マダコに挑戦し、全て結果を出してきた。「スミイカを釣れば船宿さんの狙い魚種をコンプリートできるので、今日は頑張ります!」と気合十分だった。

午前7時30分の出船から約20分の移動で最初のポイントに到着。「最初は(テンヤを海底に止める時間を)長めの7秒でいってみます」。だが、この日は強風が邪魔をした。「底が取りづらい…」とつ~ちゃん。高橋船長も「この風だとゼロテンションがやりにくくなりますね」。ゼロテンションとは、テンヤを着底させ、ラインを極力緩めに張った状態をキープすること。強風下でこれを保つのは至難の業だ。

ひたすらしゃくり続けるつ~ちゃんに高橋船長は「最初のしゃくりをもう少しキツくした方がいい。でも、乗ったときにアワセの幅がなくなるので、サオは立てすぎないほうがいい」とアドバイス。また、「3秒くらいステイさせたら、50センチくらいしゃくってすぐ下げるような細かいしゃくりもいいかもしれません」と続けた。

これが功を奏した。ショートステイでしゃくった瞬間、サオ先がドーンとしなった。「うぉ~、来た!」。初ヒットに思わず笑みがこぼれる。「今掛かった感じが分かりました」とほほ笑みながらリールを巻くが、水面近くでその姿が見えた瞬間、バレた。「え~! 消えた~」。笑顔も消えた。「ちょっと(ラインの)テンションが緩んでしまったのかもしれません。でも、これで何となく分かりました。次に乗ったら上げますよ!」と宣言。

その10分ほど後。再びしゃくったサオにドーンと重みを感じた。「今度こそ!」。だが、今度はリールを速く巻きすぎてバレた。高橋船長は「落ち着いて等速で巻きましょう」とアドバイスを送った。その後5回ヒットするが、上げられなかった。

沖あがり予定時刻の午後3時。アディショナルタイム突入寸前につ~ちゃんの声が響き渡る。「乗った!」。この日6回目のヒットをバラさぬよう慎重に、等速で巻き上げる。だが、海面に姿を見せたのはアカメフグ。「今日の目標はスミイカ1匹とフグ1匹だったので、これもうれしいです!」とほほ笑んだ。その後、高橋船長の計らいで30分延長となったが、結局本命には会えず、黒星に終わった。「でも、釣れないほうが、また挑戦したくなるし、新明丸さんに『また来てね』ということかもしれません。今日分かったことを次に生かして、次こそは釣りたいです」とポジティブに捉えた。

高橋船長は今後について、「潮温が下がるとイカは群れで深場に移動します。集まるので掛けやすいかもしれませんが、深さもあるので、その分難しくなります。おそらく年明けくらいまでは今の浅場でできると思います」とアピールした。

深場に移動する前の方が釣りやすいが、深場ならではの面白さもあるはず。東京湾伝統釣法を体験してみませんか?【川田和博】

■高橋船長が教えるシャコテンヤ釣り講座

高橋船長による釣り方講座を紹介する。

▼餌付け シャコの頭がつぶれないように腕を落とし、尻尾の部分をV字にカットしたら、そこから真っすぐにテンヤの串を刺す。串の先端が頭までいったら、しゃくって頭がめくれないように、頭周辺を輪ゴムで固定する。

▼しゃくり方 水深20メートル前後の浅場の場合、着底したらサオを持ち上げる程度の強さで1メートルくらいしゃくる。その際、サオを持っていない方の手をサオに添えると疲れにくい。

▼テンヤを止める時間 スミイカは、テンヤが動いている間は狙っていて、止めた瞬間に抱くので、着底したら必ずテンヤを止める。サオ先が動かず、ゼロテンションを維持する。サオ先が揺れているのはテンヤが止まっていない証拠。止める時間は5~10秒だが、その日の状況によって変わるのでいろいろ試す。

▼取り込み方 掛かったらテンションを緩めず、等速で巻く。海面から上げたらテンヤのオモリ部分を持つ。甲側の目と目の間の水管を持って、針から外す。スミを吐く水管は甲とは逆を向いているので、これならスミを吐かれても自分にかからない。もちろん、他人に向けるのは厳禁!

◆鶴見「新明丸」【電話】090・4600・1225。出船午前7時30分、集合は30分前まで、納竿午後3時。餌3匹付き9500円。この時季、フグ、マゴチも出船中。※詳細は電話でご確認下さい。