演歌歌手の出光仁美(38)が、駿河湾マダイダービー開幕直後の静岡・久料「魚磯丸」(久保田清船主=78)でマダイ釣りに挑戦した。同ダービーは安良里「ふじなみ丸」、戸田「たか丸」、御前崎「博栄丸」との4宿で開催中。魚磯丸では開幕当日に、約3キロの良型が姿をみせた。プライベートのマダイ釣りではサオ頭経験のある出光は秘密兵器を手に出陣。だが、その結果は…。

      ◇     ◇

21年10月、魚磯丸でマダイ五目に挑戦した際、当時仲乗りだった“まっちゃん”こと松崎英信氏(55)からアドバイスをもらい、その後、プライベートのマダイ釣りでサオ頭を獲得。「まっちゃんにお礼を言いたい!」と訴え続けた希望がこの日、かなった。まっちゃんを見つけるなり、「教えていただいた誘い方のおかげでサオ頭を取れました。ありがとうございます」と深々と頭を下げる出光に、船長となった松崎氏は満面の笑みを浮かべると「今日も釣って、成長した姿を見せてくださいね!」と応えた。

まっちゃん船長直伝の誘い方は「ゆっくりサオを上げるか、サオ先が海面に沈むくらい下げるかを試すといい。サオを動かすことで餌が動いて誘いになる」だった。だが、「前回の誘いが今回も合うとは限らないので、状況に応じいろいろやってみましょう」と話した。

まっちゃん船長の仕掛け投入合図を待つ出光の手には、何やらオレンジ色の物体。「これ、自作の秘密兵器で『イトカラマ~ンクン』です。マダイの仕掛けって長いじゃないですか。どうしても手前マツリをしてしまうので、何かいい方法はないかと思って、市販のプラスチック丸枠に針を付ける磁石のクリップを付けてみました」。演歌界きってのツリジョとあって、釣りに対する姿勢は前向きだ。

午前6時10分にサオ出し開始。指示ダナは海面から25メートル。「ハリス分のプラス10メートル落としてコマセを振ったら、10メートル巻き上げて待ちましょう」。出光は基本的な釣り方を再度、まっちゃん船長に確認。その第1投目。「今グンってなりましたよね? 上げてみます」で巻き上げるも「何もいない…。勘違いかも」。

出光は前回、神奈川・鶴見「新明丸」で苦手なマゴチ釣りにチャレンジ。冬場の挑戦に加え“10年に1度の大寒波”の影響もあり、ノーフィッシュ。そのせいもあってか「不安しかないです。今回も釣れなかったら…」と弱気発言も飛び出す。「なんとか1匹、1匹私に釣らせてください!」と海に向かって手を合わせた。追い打ちを掛けるように午前8時半ころには雨も降り始めた。それでも黙々と仕掛けを投入し続けた。

「反応はあるけど魚が口を使ってこない。ここ最近、魚がナーバスになっています」とまっちゃん船長。魚探を確認すると、魚影反応は濃いが、全くアタリがない。「ノーピクです。まさかこのままパーフェクトボウズとか…」と不安を口にする出光。“パーフェクトボウズ”とは、アタリもないボウズのこと。20年4月、千葉・大原「力漁丸」でのヒラメ釣りの際、出光自らが作った言葉だ。

まっちゃん直伝の誘いなど持てる引き出しを試すが、魚の反応はない。結局、パーフェクトボウズに終わった。記者が釣り上げたマダイで本紙用の写真撮影をお願いすると、「私、上手に笑えていますか?」と切ない発言。続けて「つらいです。次ありますか?」と今後の起用についての心配を口にした。

まっちゃん船長は「ちょっと前は反応もなかったけど、ここ最近反応は濃くなっています。何かのきっかけで口を使ってくれると思います」とし、「型を狙うなら4月以降がよさそうですが、マダイダービーの期間中は、右肩上がりで状況がよくなると思います」とアピールした。

そして取材翌日、なんと4キロマダイが浮上! マダイダービーはまだ始まったばかりだ。【川田和博】

■大魔神のおかげで貴重な1匹

今回、記者もサオを出したが、この日はかなり渋い印象だった。ハリス4号10メートル&マダイ針10号でスタートするも、アタリは一切なし。仕掛けを回収すると、毎回餌残り状態だった。“大魔神”こと佐々木主浩氏(55)のマダイ釣りを取材してきたことを振り返り、「大魔神は何をしていたか?」を思い出し、「ハリスを3号に替える」「針を小さくする」「ハリスを12、15メートルと長くする」など状況によっていろいろ試したが、それでも反応はなかった。だが、午前10時過ぎ。深場から浅場に移動したため、スタート時の仕掛けに戻し、置きザオから手持ちに変更し、サオ先を海面近くに下ろした瞬間にグッと引き込まれた。上がったのは1キロほどだったが、貴重な1匹を無事取り込めた。大魔神を取材してきたおかげで取れた1匹かもしれない。

◆駿河湾マダイダービー

「駿河湾マダイダービー」は5月14日まで、久料「魚磯丸」、安良里「ふじなみ丸」、戸田「たか丸」、御前崎「博栄丸」の4宿で開催中。ルールは3匹の合計重量制で、1度エントリーすれば期間中の入れ替えは何度でも可。また、入れ替えは前記4宿のどこで釣っても可能だ。参加費1000円。また、「Tokyo-bayマダイダービー」は5月28日まで、富浦「共栄丸」、勝山「宝生丸」、八景「太田屋」、久里浜「大正丸」の4宿、同ルールで開催中。約3カ月のダービーはまだまだ始まったばかり。大ダイを釣り上げて、優勝を目指そう!

▼久料「魚磯丸」【電話】055・942・3230。マダイは午前&午後の2便で午前便は集合午前5時30分、午後便は正午。餌&コマセ&氷付き1万円。※詳細は電話でご確認ください。