茨城・久慈川で1日午前5時、アユ釣りの解禁を迎えた。オトリアユを扱う菊池商店には午前4時ころから解禁を待ちわびるファンが続々と来店。菊池幸次店主(72)は「例年通り140~150匹を用意していたけど、足りなくなりそう」とうれしい悲鳴。その人気ぶりを菊池氏は「今年は天然遡上(そじょう)が良く、4月末にはハミ跡も確認できていました。そのうわさが出回ったのでしょう」と分析した。実際用意していたオトリは完売となり、追加を栃木まで買いに行くこととなったほどだ。

南田気大橋上下流には約30人が、午前6時ころから集まった。橋の上流部でサオを出した鈴木葉一さん(66)は「朝方、気温が7度と寒かった。日の出から2時間ほどたって水温も19度台に上がって、やっと追い気が出てきた」と笑った。午前7時ころの入川から1時間ほどで3匹を掛けたが、「天然モノだと思うが15~16センチと小ぶり。水温が上がって来ればもっと釣れるかもしれないけど、それまでオトリが持ってくれるかだね」。解禁日にはほぼ毎年同所を訪れているが、「釣れたためしがないんだけど、来てしまいます」と苦笑していた。

その約20メートル下流でサオ出していた男性は、同時間で6匹をゲット。こちらもサイズは16~17センチとやや小ぶりで、天然モノと思われる。「パチンコのようなもの。いい場所に入れただけですよ」と謙遜した。「毎年年券を買って来るけど、いい思いをしたことがないので、今年は日券にした。それならば諦めもつくかなと思って。でも皮肉なモノで、今のところ悪くないですね」とほほ笑んだ。「解禁はお祭りみたいなもの。釣れる、釣れないよりも、来ることに意味がありますから」と話した。

下流の菜洗いでは、十数人がサオを出した。ここは車を止める場所が少なく、先着者優先となるポイントだ。「ニッカン釣りちゃん」動画取材にも応じた永瀬洋さん(47)は「去年よりも釣り人が多いですね」という。「今年はしらす漁の前あたりから遡上が始まって、ゴールデンウイーク明けあたりまで続いていました」と続けた。監視員を務めた後の約2時間ほどで13匹をゲット。「朝の冷え込みの影響があるかもしれません。本来の追いではない感じでした。水もやや少なめで、アカも場所によっては腐り始めていました。今日は水通しのいい瀬で釣れました」。

同所では日刊釣りペンクラブ大関実さん(55)もサオを出していた。「午前5時から4時間ほどでちょうど10匹。サイズは10~18センチで、掛かった7割は天然モノだと思います。放流モノもいるけど、追ってこない。久慈川は高水温な川なので、魚の習性的に低いと追わないですね」と話した。

久慈川漁協の高杉則行代表組合長(76)によれば、この日「午前中に250人がサオを出しました」という。「大子地区は工事の影響が出てしまったようですが、上流の宮川地区、上大川地区では10時ころまでに20匹超の方も確認しています。場所ムラが出てしまったようです」と話した。久慈川では解禁までに、海産稚魚を2000キロ放流している。今後については「魚影が濃く、天然遡上が多いので、7月あたりも期待できると思います。今年は例年以上に長く楽しめると思います」とアピールした。

この日の模様は後日、本紙釣り面(関東版)および、ユーチューブ動画「ニッカン釣りちゃん」で公開予定。