釣り大好き演歌歌手の出光仁美(39)が、千葉・勝山「宝生丸」(高橋賢一船主=45)で落とし込み釣りに挑戦した。これはまずサビキ仕掛けでアジを掛け、掛かったアジをそのまま餌にしてブリやカンパチ等の青物を狙う釣りだ。本紙釣り取材では“ボウズ”が多いイメージの出光。果たして、大物は食いつくのか?

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ブリは「イナダ」「ワラサ」と成長によって呼び名が変わる出世魚。日刊スポーツでは3キロ未満をイナダ、8キロ未満をワラサ、8キロ以上をブリとしている。取材1週間前ほどから、同船や近隣の保田「村井丸」でブリが上がっていた。「ブリは回遊魚だけど、毎年この時季になると、この周辺にアジを求めてやって来ます」と小滝俊之船長(28)。「アジの反応がなくなると青物もいなくなってしまうのでいつまでできるかは分からないけど、今がチャンス」とアピールした。

そんな明るい話題にも「落とし込みは2回やったけど、アジしか釣っていないんです」とうつむく出光。「アジが釣れればボウズではないですよね?」。アジは餌なので本来であればアウトだが、今回は特別ルールでボウズ回避とした。

取材当日は、39歳誕生日の前日。釣りの神様からの前祝いプレゼントか、朝イチ1投目でアジのアタリ。「もしかしたらついとるかも。ビクビクしとる」。そう言うとおもむろにロッドキーパーにサオを掛け、置きザオにした。「これでガーンと来たら合わせるんですよね? 何だか上げてみたくなります」。ぬれたソックスを脱ぎ、絞りながら待っていると、サオ先が大きく2度しなった。「何か来とる」。ロッドキーパーに掛けたサオを外さずそのままサオを立てると、電動リールを巻き始めた。何度もサオ先がガツンとしなる。「気持ちいいよ、これ!」。だが、残り20メートルほどで獲物が激しく暴れた。必死に耐えた瞬間、テンションが抜けた。「あっ!?」。思わず声が漏れ、「おらんくなった。バレた…」。

実は出光、大きなミスを2つ犯していた。タモ入れの準備に入っていた小滝船長は「10キロ超えもいるから、大物が食ったらサオは手に持ってやらないとバレてしまう」と指摘。さらに、「合わせていない」と続けた。確かに、ロッドキーパーに掛けたまま、サオ先を上げただけだった。合わせのタイミングは「置きザオにしていたサオが大きくしなって、食い込んだと思ってから“ヨイショ”くらいの間をおいたほうがいいです。早合わせだと、魚が違和感をもって逃げてしまいます」。

結局その後、餌のアジこそ掛けるが、そのアジを飲み込む大物は現れなかった。「またアジしか釣れなかった。悔しい」。三度目の正直とはならなかった。出光と同じ轍(てつ)を踏まぬように大物を釣り上げよう。【川田和博】

■木村さんワラサ2匹

釣り友の木村孝一郎さんは5・1&6・8キロのワラサ2匹を釣り上げた。最初の5・1キロは「アジが掛かったのでずっと放置していたらガツンときた」。6・8キロは「底から5メートルくらいでアジが掛かって、10分以上放置した。高すぎると来ないと思って、たまに落として底から5メートル以内を意識していたらガツンと来た」。

■「切れるなよ…」記者ワラサ7キロ

記者も7キロワラサをゲットした。アジが掛かったのは水深100メートルの着底でコマセを振り、1メートル巻き上げた場所。そのまま手持ちで待っていると、1~2分でサオ先が海面にスーッと引き込まれたため、そこで合わせた。最初の約10メートルは抵抗が激しく、上がって来ない。ドラグを締めてやりとりしたが、その後も50&30メートル付近で暴れた。ハリス12号だったので「切れるなよ…」と慎重になったが、無事上げることができた。

■アジのタナ深く「泳がせ」よりも落とし込み有利

今回の釣り方は「落とし込み」だったが、掛かったアジを回収し、別の仕掛けに掛けて青物等を狙う「泳がせ」もある。どちらがより釣れるのだろうか? 小滝船長によれば「その年によっても違うけど、ここ数年は落とし込みが有利」という。その理由は、アジのタナが深くなっていることだ。「アジの反応は水深70~100メートルのほぼ底か、底から5メートルで出ています。泳がせだと、その深さで掛かったアジを1度回収して、手で触って針を掛け、もう1度落とし直すので、どうしても弱ってしまいます」。さらに、水温上昇も拍車を掛けている。「特に今年は水温も上がっているので、掛かったアジをそのまま餌にする落とし込みの方が食いがいいです」。釣果の鍵は、餌となるアジの生きの良さにありそうだ。

▼勝山「宝生丸」 【電話】0470・55・2777。集合午前4時30分、氷付き1万1500円。現在、カワハギも受け付け中。※出船状況などの詳細は必ず船宿に確認して下さい。