モデルでツリジョの“つーちゃん”こと利水つばさが9日、神奈川・鶴見「新明丸」(高橋英夫船長=53)でスミイカ釣りのリベンジに挑戦した。22年11月、同船でのデビュー戦は、6回ヒットも全てバラシだった。今回はリベンジに燃えたせいか、「昨夜は一睡もできませんでした」と明かした。

だが、今年は様相が違った。新明利勝船主は「ここ10年を振り返っても、ここまで悪い年はない」とし、「フグが釣れている年はイカやタコは釣れないと言われますが、今年がまさにその状態」と嘆いた。スミイカ歴20年という常連の清水正美さん(74)も、「今年、10年ぶりに(スミイカで)ボウズを食らいました。ここ数年というか、自分の感覚では14~15年前以来の悪さだと思います」と話した。

新明丸は、スミイカの東京湾伝統釣法「シャコテンヤ釣り」を守り続けている。だが、相変わらずシャコが苦手なつーちゃん。「カマキリとダンゴムシとゴキブリを足したような感じが苦手」と顔をしかめた。前回同様、高橋船長にシャコの付け方を教わるという名目でセットしてもらった。「ニッカン釣りちゃんで基本的な釣り方は復習して来ました」というが、改めてレクチャーも受けた。

開始から約2時間半。しゃくり続けるつーちゃんのロッドにアタリがあったが、バレた。この時点で2匹を釣っていた常連の窪田秀利さん(69)から「女性の力だと掛かりが甘いので、ゆっくりでもサオを90度に立てるくらいのしゃくりに方がいいかもしれない」とアドバイスをもらった。これで、つーちゃんのしゃくりが変わった。それまでは小さい幅でシャープにしゃくっていたが、ゆっくりだが大きなストロークを意識した。

“後半のつーちゃん”を自称するが、「自分でいろいろ考えたり、周りを観察したりで釣り方を変えているので、結果が出るのが後半になってしまうことが多いです」と自己分析する。そして、それはこの日も同じだった。

納竿1時間半前、静かに大きくしゃくると、違和感があったのかリールを巻き始めた。だが、あまりの重さに「だれがオマツリしていませんか? それとも根掛かり?」と疑心暗鬼。「重い、重すぎます。あと何メートルあるの?」。窪田さんがタモ入れの準備をしてくれたが、海面に姿を見せたのは1キロほどタコだった。無事取り込むと「腕がパンパンで、途中諦めそうになった」と両腕をブラブラさせた。苦労して釣り上げたが、本命には足が2本足りなかった。ラスト30分ほどで再びヒット。今度はしっかり足が10本あったが、ゲストのマルイカだった。「テンヤを止める時間も最初は5~6秒、中盤は10秒くらいで、後半は3~4秒にしてみました。後半は強風でしゃくりも大変だったけど、短めのステイと大きなしゃくりであと1歩のところまで来たので、次は釣れそうな気がします!」とあくまでも前向きだ。

「今年は毎日が振り出しに戻っているような感じで、昨日釣れた場所で今日釣れない。個体数自体も少ないかもしれません。本来であれば深場の最盛期ですが、水温が高いせいかそれもない」と高橋船長。釣れる年もあれば、釣れない年もある。それも釣りの側面だ。だが、渋い年に釣る1匹は心に残る1匹となるかもしれない。 【川田和博】

この日の模様な後日、本紙釣り特集面(関東版)に掲載。なお、ユーチューブ動画「ニッカン釣りちゃん」も近日公開予定。