釣り具メーカー「ジャッカル」プロスタッフの宮本英彦氏(69)が、千葉・保田「村井丸」(村井智博船長=60)でカワハギ釣りに挑戦した。プロは一体どんな点にこだわっているのだろうか? その“こだわり”について聞いた。

カワハギ歴40年の宮本英彦氏がもっともこだわるポイントに餌を挙げた
カワハギ歴40年の宮本英彦氏がもっともこだわるポイントに餌を挙げた

カワハギ歴30年となる宮本氏がその筆頭に挙げたのは“餌”だった。「餌のストレスは極力避けたい」。カワハギの餌といえばアサリのむき身だが、基本的には自ら用意する。「できればむきたてがいいので、大会なら自分でむいたモノを使います。プライベートでは、大会用にむいたモノを塩漬け保存したモノですね」。この塩漬けの際にも「塩と味の素を混ぜたパウダーをかけ、海水と同程度の塩分濃度の塩水に漬けて冷蔵します」というこだわりようだ。船宿によっては冷凍モノを提供するケースもあるが、「1度凍らせると解凍時にどうしても線維が壊れてしまう」という。だが、「だからといって冷凍が釣れないということでもない」とも続けた。

今回は塩漬けのアサリを使用。こだわりがつまった粒ぞろいだ
今回は塩漬けのアサリを使用。こだわりがつまった粒ぞろいだ

大きさにもこだわるが、「大きいのはダメ」が宮本流。「釣り人の好みもある」とした上で、「小さいのは2個付けで解決できるけど、大きいのは解決方法がない。餌提供の大会もあるけど、大きいのは使わない。でも、大きいので釣っている人もいますからね」と苦笑した。

そんな宮本氏が自信をもって推薦するのがマルキユー「カワハギゲッチュ」。「市販品としては、現時点で最もクオリティーが高いと思います。粒もしっかりそろっている」と太鼓判を押した。

宮本氏オススメのマルキユー「カワハギゲッチュ」
宮本氏オススメのマルキユー「カワハギゲッチュ」

仕掛けも自家製でこだわりがたっぷり(下記参照)。そんな宮本氏の釣り方は「基本的にはキャストをして広範囲を探ります」。いわゆる“横の釣り”かと思いきや、「結局やっていることは縦の釣りです」。

カワハギ釣りに集中する宮本氏
カワハギ釣りに集中する宮本氏

そんなこだわりが詰まった釣りをもってしても、この日はバラシを連発。また、ゲストの猛攻撃もあった。ロッドを軟らかいモノに変えるなどの対策を取ったが、「まずは目標つ抜け。できれば20匹」に対して5匹にとどまった。「今日はやること全てが裏目になってしまい、アタリを出せなかった。自分の思う釣りがはまらず難しかった」と苦笑した。なお、この日はトップ9匹だった。

厳しい状況で釣り上げた最大23センチに思わず笑みがこぼれた
厳しい状況で釣り上げた最大23センチに思わず笑みがこぼれた

釣り人の数だけ釣り方がある。そう言っても過言ではないのがカワハギ釣り。初心者でもハマればサオ頭獲得もあり得るが、多くの場合、釣り人の技術が釣果に反映される。プロのこだわりを参考にカワハギ釣りを楽しもう。【川田和博】


■40年かけてたどり着いた仕掛け

40年かけてたどり着いた仕掛けは“シンプル”だった。そのこだわりを紹介する。

▼ロッド 硬めと軟らかめの2本を用意。硬めのは誘いやすく、手感度抜群だが、大型が掛かると反発でバレやすい。軟らかめは目感度が良くバラしにくいが、人によっては誘いにくさがあるかもしれない。

▼針 吸わせ系。試行錯誤の結果、自信を持って挑めるのが吸わせ系だった。

▼集寄 これもいろいろ試したし、自作のモノも試した。今も持ってはいるけど全く付けません。理由はその方がアタリを取りやすいからと、前アタリから釣っていくイメージだから。集寄で確かに魚は集まるけど、極論ですが、結局食うのは餌なので、アタリに集中したい。

▼オモリ 今流行のピカピカオモリは集魚効果はあると思うので大会では使う。でもちょっと高価なので、プライベートではなくすとフトコロに痛い(笑い)。

宮本英彦氏使用仕掛け
宮本英彦氏使用仕掛け

■「年々型が大きく」道具の進化もありそう

宮本氏の最大は33・5センチで、今季最大は31・5センチ。「年々型が大きくなっているような気がしています。今は尺ハギも当たり前のように出ていますよね」。これには道具の進化もありそうだ。「昔は丸セイゴ針で掛かったら速巻きだったけど、今の針は細軸でねじれないし、伸びない」と話した。


■活性が高い「縦」低いときは「横」の2種類

カワハギ釣りには“縦の釣り”と“横の釣り”がある。縦の釣りは、基本的にオモリが底から浮いたフルテンションの釣りだ。対する横の釣りは、基本的にオモリが底に着いた状態。キャストをしてオモリが底に着いたゼロテンションも横の釣りだ。セオリーとして、カワハギの活性が高いときは縦の釣り、低いときは横の釣りが有効といわれる。

■「まだ楽しめる」

港から約5分にポイントがある村井丸は、今シーズンからカワハギ釣りを開始している。村井船長はこの日の状況を「ここ最近18度あった水温が16・5度に下がり、潮も澄み過ぎでした」と説明した。カワハギは年を越すと釣果は下降気味ともいわれるが、「まだ楽しめると思いますので、希望があれば出船していきます。また、来季以降も継続していきます」。カワハギファンにとっては、うれしい選択肢増となった。

今季からカワハギ開始の保田「村井丸」
今季からカワハギ開始の保田「村井丸」

▼保田「村井丸」【電話】0470・55・1121。出船午前6時。乗船料8500円。餌は1600円と550円あり。現在、アジ五目、LT五目、希望でヤリイカを受け付け中。※詳細は電話で確認を。

◆日刊スポーツ共栄会でカワハギ釣りを楽しめる船宿

▼勝山「宝生丸」【電話】0470・55・2777▼金谷「光進丸」【電話】0439・69・2232▼新安浦「長谷川丸」【電話】090・6021・5919※出船日は要確認。