良型カワハギの数釣りを狙って、中紀・湯浅栖原の乗合船「かるも丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で14日、日ノ岬沖へ出た。当日は風も波もなく、絶好の釣り日和。しかしこの日のカワハギは手ごわかった。なかなかヒットパターンを見つけられず、次々と餌を取られ苦戦。それでも釣り人は宙釣り釣法や、底トントン釣りなど、あの手この手で奮闘。竿頭は午後2時過ぎまでに22~28・5センチを30匹釣り上げた。条件がそろえば、まだまだ数、型とも期待できる。【中村和嗣】

年末から2船態勢になったかるも丸。左が新たに加わった乗合船(14人乗り)
年末から2船態勢になったかるも丸。左が新たに加わった乗合船(14人乗り)

小さな口で上手に餌をかすめ取るカワハギ。気づかぬうちに見事に餌をかすめとられたときは悔しいが、その分食いパターンを見つけ、微妙なアタリをかけた瞬間の気持ちよさがたまらない。この日もおのおのの釣り方、仕掛けで餌取り名人との駆け引きに挑んだ。

午前7時ごろ、昨年末から新たに就航した大型のかるも丸で、日ノ岬沖の水深約40メートル、底はゴロタ石のポイントに入った。波は穏やかで、潮は緩い下り潮が流れている。左舷後方に入り、佐藤友則船頭の合図で一斉に流し釣りを開始。

カワハギを2連掛けした町上さん
カワハギを2連掛けした町上さん

記者はアサリ身を餌にした仕掛けが着底後、オモリで底を3回たたき、竿をゆっくり上下する誘いで食いアタリを待つが、合わせのタイミングがあわず、餌だけ見事にかすめとられる。

そんな記者とは対照的に数をのばしていたのは、左舷船尾の町上富士樹さん(大阪市)だ。点滅電気オモリを付けたちょい投げで、22センチを釣り上げた。その後もオモリを底から10センチほど上げて、竿をゆっくり上下したり、竿先を軽くシェイクする緩やかな誘いを交えていく。そして、聞き合わせで食いアタリをとらえ、20~23センチを追加していく。

ほかの釣り人も、刺し餌にマムシやアオイソメを使用したり、集魚板の枚数やオモリのカラーを替えたりしながら、カワハギの食いパターンを探っている。

午前10時過ぎ、記者の竿にコツコツとアタリ。記者も聞き合わせて、肝パンの25センチ良型をゲット。この1匹に「やっと釣れた」とボウズ逃れにホッとする。

25センチのカワハギを手にする鶴田慎一さんと、28.5センチのカワハギを釣った息子の皓己さん
25センチのカワハギを手にする鶴田慎一さんと、28.5センチのカワハギを釣った息子の皓己さん
竿頭の鶴田さんの釣果
竿頭の鶴田さんの釣果

また、右舷後方では、鶴田慎一さん(和泉市)も、宙釣りで同型を釣り上げた。鶴田さんは東京から帰郷している息子の皓己さんと、親子で釣りに来ており「息子がカワハギ専門で釣りをするので、いろいろと釣り方を教えてもらってます」と良型に笑顔を見せる。

その息子の皓己さんは前半、集魚板の枚数を変えたりして、中オモリを付けての釣りでカワハギを誘っていたが、なかなか釣果が上がらなかった。そこで後半は中オモリを外し、底狙いから宙釣りに変更。すると、この判断が見事、吉と出た。「底からオモリを5センチ上げて、3センチずつ仕掛けを巻き上げ、止めを入れる誘いをかけると、前半がウソのように釣れだしました」と、肝パン交じりの22~24センチを次々と釣り上げていった。納竿前には、この日の最長寸となる28・5センチを釣り上げ親子で大喜び。「カワハギは食いパターンがいろいろあって一筋縄ではいかない。だからこそ面白くてやめられません」と話す。

カワハギの仕掛け
カワハギの仕掛け

そのすぐ後には、町上さんが20、24センチの2連掛け。「今日は場所によってヒットパターンがコロコロ変わって苦労しました」と、最後は連掛けで締めを飾った。そして午後2時過ぎに終了。竿頭は鶴田皓己さんで、22~28・5センチを30匹だった。ほかの釣り人も、肝パン交じりの食欲をそそられる良型ぞろいに満足して沖をあとにした。


【今後の見通し】カワハギは、これから水温が上昇し、潮が適度に動くと活性も高くなる。今期は20センチ以下の小型が少なく、肝パン交じりの22~25センチが中心で釣れ続いており、30センチ級も狙える。数も条件が良ければ40~50匹が期待できる。釣期は例年5月末まで楽しめる。


【問い合わせ】かるも丸【電話】0737・62・3527。乗合船料金は1人1万1000円(氷付き)。エサ、仕掛けは別。エサ1パック500円。港に午前5時半に集合、出船は同6時ごろ(季節により変更あり要確認)。

【交通】電車はJR紀勢本線の湯浅駅下車。タクシーで約5分。車は阪和道の有田ICを出て国道42号を南下。湯浅交差点の信号を右折。北橋を右折(かるも丸の看板あり)道なりに進み栖原港へ。

中紀・日ノ岬沖
中紀・日ノ岬沖