超高級魚として誰もが知るトラフグ。東京湾でその大型が入れ食いのように釣れる日が年に数日ある。これを釣り人は「Xデー」と呼ぶ。いわゆる“乗っ込み”だが、昨年のXデーは3月22日だったこともあり、1年後の同日、千葉・勝山「宝生丸」(小滝俊之船長=29)でトラフグ釣りに挑戦してきた。高橋栄大船長(76)に、単刀直入に「去年は今日がXデーでしたが今年は?」と聞くと、「まだ」の一言だった。

フグはこれまでショウサイ、アカメ、コモンの経験はあるが、トラフグは初めて。大船長に釣り方を確認すると、「基本的には変わらないけど、トラフグはアタリがあってから食うまで時間がかかる」という。また、「反応を見つけての宙釣りになるので、釣り方はタチウオをイメージするといい。小さい幅でしゃくったら巻いて止める。これを指示ダナで繰り返して」と続けた。

まずはカットウでスタート。開始早々、左舷の4人がヒット。このヒットがこの日のヤマ場で、最大2・5キロ含む2キロ台が一気に3匹掛かった。おこぼれがなかった右舷にいた記者は、2・5キロを釣り上げた常連さんにアドバイスを求めると、「トラフグは運。テクニックはいらない。ヤツらはどう猛だから、餌さえ見つけてくれればアタックして来る」だった。

開始から約4時間後。大船長特製のチラシ針仕掛けに変更すると、1投目でアタリ。慎重に食い込みを待ち、良きタイミングで小さく、だがシャープに合わせたが針がかりせず。同じタナで再度誘うも、もはや見向きもしなかった。記者のヤマ場ほこの1回のみ。結果はボウズ。しかも船中唯一のボウズだった。帰港後、「すみません。ゼロを出してしまいました」に大船長、おかみさんは苦笑するしかなかった。

今年のXデーはいつになるのだろうか? 大船長からは「それが分かれば苦労しない」と一蹴された。それを見ていた常連さんは「今週の大潮周りが濃厚だと思っていて、自分は26日に予約しています」と話してくれた。また、24日が濃厚とする人もいる。いずれにせよ、今週の大潮は26日までで、次は4月7~10日だ。この数日間がトラフグ祭りになることは間違いないだろう。【川田和博】