食べておいしい千葉・内房の黄金アジのLT(ライトタックル)、マダコやマダイ、アユの友釣り、磯のイシダイなどなど、夏ならではの楽しい釣りがある。そんな中で気をつけたいのが、熱中症や日焼けだろう。昨今の服装の主流は、快適さと機能性を追究している長袖。そんな事情を、バスプロで、フィッシング・コーディネーターの茂手木祥吾氏(48)に解説してもらった。
自分の体力を過信
「まずは熱中症対策として、体温を上げすぎない服を選ぶことです」。茂手木氏はこう解説した。釣りをする際はUVをカットし、肌に接触すると冷える素材で、吸水性と速乾性に優れた長袖を多用するという。半袖しかない場合、腕を隠すアームカバーをする。
さらに注目しているは、冷風ファンの付いたベスト。数年前、現場作業員用に商品化されたが、日常使いへと浸透してきた。数多く出回って普及している分、手ごろな価格で購入できるのもありがたい。
「特に釣り好きシニアの皆さんは年を経て、自分の体力が落ちていることに気づいていない。暑さは平気だと思い込んでいる。このベストと接触冷感や吸水・速乾性のあるシャツの組み合わせで、冷たい風を内側に吹き込んで汗を気化させるといい」(茂手木氏)。汗をビッシリかくと体が冷えすぎる、綿のTシャツとの組み合わせは厳禁だ。
梅雨でレインジャケットを着ている場合は、ムレないように首にタオルを巻く。通気性があるからだ。お年賀のもらい物でもいい。日が照り始めても首筋を保護できる。
UVカット加工の衣類は、日焼け対策にも役立つ。茂手木氏が推奨するのは、フード付きで親指を通す穴があり、手の甲まで隠せるタイプ。フェースカバー型もいい。「意外にも日焼け対策でおろそかになるのが手の甲、耳の裏、首筋」と指摘する。
他業種も開発販売
船酔いの激しい人にはフードタイプは薦めない。むしろ、つばの広いハットタイプを推奨する。これは日光を遮断するだけでなく、針から頭部や顔を守る役割もある。
フェースカバーやアームカバーは、小さくたたんで収容できる。道具入れの中に2~3セット用意しておくのも手だろう。
日焼けはやけど。皮膚が赤くなると、回復させるために体力を使う。寝ても疲れが取れなくなるという悪循環になる。「とにかく肌を『出さない』『焼かない』『さらさない』。これが3原則」。最近の気温の上がり方、太陽光の熱量を考えて、茂手木氏はこう強調する。気象庁が発表した6~8月の傾向によると、全般に平年より気温は高い見込みだという。
暑い夏に釣り具メーカーだけでなく、「ワークマン」などアウトドアも手がける量販店、五輪を控えているスポーツ用品メーカーも快適さと機能性を追究した衣類を開発、販売してくるだろう。釣り人だけでなく、炎天下で働く人や部活動を行う運動選手にも、これらのグッズは使える。
■凍らせたペットボトル、保冷剤など活用
茂手木氏は暑さ対策として、身近にあるものの活用も推奨している。まずは水道水を凍らせたペットボトル。飲み物だけでなく、体を冷やすのに使う。もう1つは、ケーキなどを購入した時に入れてもらう保冷剤。ジッパーの付いたポリ袋などに入れて氷を入れたクーラーで運ぶ。釣り現場で、タオルに巻いて使う。
暑くても、釣りに夢中になっていると体温が上がったことに気づかず、急にフラッとすることがある。そんな危険は避けたい。「船釣りでポイントを移動する時、落ち着いて水分を補給すると同時に、自分の体も冷やすといいでしょう」(茂手木氏)。
■「赤」になったら休憩を ウエアラブルデバイス
釣り人たちが新たに注目しているのが、Biodata Bankの熱中症予防のためのウエアラブルデバイス「熱中対策ウォッチ カナリアPlus」。
電源を入れると、音が鳴る。緑色のLEDの点滅を確認したら、手首に直接巻く。体温上昇を検知すると、アラームのブザーが鳴って振動し、LEDが赤色になって点滅、「熱中症の恐れがある」と知らせる。こうなったら、涼しい場所で水分や塩分を補給し、10~15分ほど休憩する。LEDが赤から緑に戻れば、作業に復帰してもいいという目安になる。
■防虫対策も兼ねる長袖 磯釣りや淡水では要注意
長袖にするのは、防虫対策も兼ねている。船の上では関係ないかもしれないが、川べりや湖岸のアシ周りではやぶ蚊などが待ち受ける。もっと怖いのは、吸血昆虫のイソヌカカ。体長数ミリほどで、ヌカのように小さな蚊だが、夏の産卵期に岩場、草場で産卵する。集団で飛んでおり、皮膚の敏感な部分や複数の場所をかまれると、猛烈にかゆくなる。かゆみも数日引かない。皮膚をわずかに露出させていた部分が襲われる。磯釣りや、淡水のおかっぱりでは要注意。もちろん、虫よけスプレーは必需品だ。
◆茂手木祥吾(もてぎ・しょうご)1976年(昭51)5月26日、東京都練馬区生まれ。3歳のころから祖父や父に連れられ、釣りを開始。船、磯、渓流からルアーまですべてをこなす。23歳でバスプロに。12年(平24)には国内最高カテゴリーのバストーナメントで福島・桧原湖で優勝。現在はフィッシング・コーディネーターという形で、さまざまな釣りのイベントや企画番組などのインストラクター、実技指導をしたり、カメラマンとしてSNSや媒体でのプロモーション活動の手伝いをしている。また、いろいろな釣りのガイドとしても活躍中。














