まだまだ暑さが厳しい折、涼しい釣り堀での釣りはどうだろう。東京都品川区にある「旗の台つりぼり店」は、昔ながらの銭湯を改造。浴槽の代わりに水槽を入れ、コイを放っている。ノベザオも仕掛けも餌も冷房も完備している。入門編とも言うべきこちらで、釣りの「いろは」を学んでみるのも面白い。
原点を思い起こさせてくれる
銭湯の面影が至る所に残っている。昭和レトロの外観、番台、下足箱、富士山の壁画がある女湯、竹で編んだ脱衣カゴなどなど。それもそのはず、ここは2001年(平13)に廃業した「荏(え)の花温泉」を改造しているからだ。
男湯は初心者向きで20~30センチ主体だが、慣れたら女湯に移動して少し大きめの獲物を狙う。最大60センチ、重さにして2キロは軽くありそうなコイが放流されている。親子連れなどが、にぎやかな声を出しながら楽しんでいた。初めてやってきたという隣の大田区民の女性は、「こんな近くにあるなんて知らなかった」と驚いていた。
暑さを避けて涼しく釣りができるだけではない。用具を持参する必要もない。備え付けの貸しザオ(長さ1・2~1・5メートル)のウキ釣りで、練り餌をグリーンピース大にして付けて落とし込む。ウキがスーッと沈んだら獲物が食った合図。軽く手首を返して水面にコイを浮かせ、常備してあるタモに入れる。初心者や経験があまりない人でも、ボランティアのベテラン釣り師から教えてもらえるのもうれしい。
この釣り堀、地元の柳田工務店が経営している。社長の柳田久光さんが、「子どもたちが楽しめる場所を提供したい」と10年前から始めた。
かつての銭湯は子どもたちが社会のマナーやルールを学ぶ場でもあった。「間違ったことをすれば大人たちがしかってくれる。釣り堀も同じで、マナーやルールを守ってほしい。そのうえで、釣りを楽しんでもらえれば」と言う。
子どもや初心者はどうしても針にかかった瞬間、力任せに抜き上げようとする。すっぽ抜けたり、獲物が空を飛んで、自分や他の人に当たったりする。食わなくなると餌を大きくしがちになる。だから、遊びの中でルールやマナーを覚える必要性がある。
もう1点、ここでの釣りは「基本中の基本」でもある。一連の動作がキチンとできればその先、河川や海へ釣りに行っても応用できる。釣れない時は初志貫徹で、「粘り」と「頑張り」を発揮するのも同じ。そんな原点を思い起こさせてくれる場所でもある。
まだまだあります変わり種
全国を見渡すと変わり種の釣り堀としては、廃校になった小学校もある。兵庫県三木市では4年前に廃校となった旧中吉川小を改装して、今年4月に開業したばかりのレジャー施設「OPEN SPACE」の中に釣り堀がある。地元の釣具メーカー「ハヤブサ」が手がけた。同社にはこの小学校の卒業生が多く、「再び笑顔が集まる場所に」との思いから始まった。
全天候型の屋内釣り堀で、その名も「つりの体育館」。ニジマスが定番で、季節によって違う魚が放流されるという。飲食コーナーもあり、持ち込めばから揚げにしてもらえる。
小学校の改装例として道の駅(千葉・保田)、水族館(高知・室戸)などはあるが、釣り堀は珍しい。
▼釣り堀 旗の台つりぼり店=【電話】03・6426・9271。http://www.yanagidakoumuten.com/turibori/index_turibori.html
▼交通 東急大井町線荏原町駅か、東急池上線旗の台駅から徒歩約6分
▼入場料 貸しザオ、餌付きで1時間あたり中学生以上1200円、小学生以下900円、付き添いの保護者300円
▼営業 土・日・祝日の午前10時から午後6時





