医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

 ◇ ◇

 かつては「ぜいたく病」などといわれた痛風。その痛風を起こす高尿酸血症は、飽食の現代、ぜいたくをしなくてもなりやすい病気の1つである。特に、中年男性に多い。

 尿酸値が高くなると、血管内で炎症を起こしやすくなる。血糖値が高いときと同じように炎症を起こし、動脈硬化を起こしやすくなる。結果として心筋梗塞や脳梗塞も多くなる。

 腎結石や尿管結石も多くなる。中でも痛風は、尿酸が足の指の関節などでとげ状になり、それが炎症を起こす。激痛である。

 尿酸は、プリン体が分解される過程で産生される。プリン体を多く含む食べ物は、レバーやモツ、脂肉、豆などがある。大量に食べるのはよくないが、適量ならば、最近は昔ほど神経質にならなくていいといわれている。食べたいときには少し食べてもいい。

 ただし、注意したいのは「プリン体ゼロ」をうたったビールや発泡酒。もちろん効果はある。でも、アルコールが体内で分解される際、プリン体は少なからず産生されてしまう。プリン体ゼロだからといって、やはり飲み過ぎはよくないのだ。

 日本酒を2合以上、ビールなら大瓶2本以上飲むと、痛風にかかる確率が高くなるといわれている。

 血糖値が上がりやすい人は尿酸値も上がりやすいので、糖尿病のある人は注意する必要がある。

 尿酸値のコントロールには軽い運動と軽いダイエットがいい。ただし、無理して1カ月に5キロもやせると、脱水状態になり、尿酸の血中濃度が上がる場合がある。

 まずは、暴飲暴食を避け、軽い運動で1~2キロの減量から始めてみよう。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。