性感染症の「尖圭(せんけい)コンジローマ」。患者数はほぼ横ばいが続いている。「プライベートケアクリニック東京」名誉院長の尾上泰彦医師はこう話す。

 「尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の、おもに6型あるいは11型による感染症です。約3週から8カ月のけっこう長い潜伏期間があり、再発を繰り返すのが特徴です」

 ウイルスに感染しての症状は、性器、肛門とその周辺などに痛みのない小さなイボが複数できる。

 「亀頭や冠状溝(カリの部分)、包皮内などにニワトリのトサカのようなデキモノが多数できます(乳頭状腫瘍)。痛みやかゆみはありません」(尾上医師)。

 非常に特徴ある外見をしており、アナルの奥にもできるという。

 「女性では小陰唇、大陰唇、膣(ちつ)前庭、尿道口の周辺にみられます。これら外陰部以外にも膣壁や子宮頸部(けいぶ)にもできることがあります。子宮頸がんなどと区別しなければいけません」(尾上医師)。

 また、陰茎の冠状溝にできる小さなイボ(真珠様陰茎小丘疹)は日本人男性の約4割にある生理的な変化だといい、鑑別が必要だ。いずれも尖圭コンジローマと思い込み、過剰な治療のもとになったりすると指摘している。なお、HPV16型、18型は、子宮頸がんの原因になる。

 治療は、イボができた場所などにより外科的に取る方法と、塗り薬で治療する。再発しやすく、根気よく治療を続けることが大切だ。

 「ほかにもスキンシップで感染する性器伝染性軟属腫(ミズイボ)は包皮や外陰部肛門周囲等にできやすいので、きちんと受診してほしい」(尾上医師)。