大阪市にある「太融寺町谷口医院」の谷口恭院長に聞く究極の予防法を2回にわたってお伝えしよう。

 谷口院長はまずコンドームについてこう話す。

 「性感染症をどうすれば防ぐことができるか。コンドームは不可欠です。つまり、コンドームなしでは性感染症に感染する危険性は飛躍的に高まるので、コンドームは優れた予防グッズといえます」

 コンドームの予防法には落とし穴がある。

 「コンドームは完全ではありません。コンドームで性感染症を防ぐならオーラルセックスの際にも必要ですし、それでもすべての感染症を完全に防ぐことはできません」(谷口院長)

 「性感染症については、適切な治療で完治するものと、いったん感染すると、命にかかわるような、人生を変えてしまうものがあります。肝炎ウイルス、HIVなどが後者の代表です。たとえばB型肝炎はワクチンを接種し、抗体形成を確認していれば感染は起こりませんが、粘膜や皮膚の接触で感染し得る梅毒や性器ヘルペスにはワクチンがなく、コンドームで防げません。再発を繰り返す尖圭(せんけい)コンジローマは、ワクチンはあるものの、日本ではあまり普及していません」(谷口院長)。

 どう考えるべきか。

 「結果的に性感染症を完全に防ぐ方法はなく、もしも絶対に感染したくないというのであれば、セックスをやめる以外にありません。とはいえ、この方法は、“交通事故に遭うかもしれないので外出しない”というのと同じで現実的ではありません。私が最善だと考えているのは、“お互いに忠誠を誓ったパートナーとだけセックスをする”ということです。この考えもまた非現実的だという指摘があるでしょう」(続く)。