米アップルのiPhone(アイフォーン)がアメリカで発売されてから、10年たった。今年、全世界でスマホの利用台数は40億台に達するといわれている。今やインターネットへの入り口ともいえるスマホは、年々多機能化が進み、ますます便利になっている。今年7月に公表された総務省の情報通信白書(平成29年版)によれば、過去4年の比較でモバイルによるネット利用時間は38分から61分へと1・6倍に増加した。なかでもスマホ利用者の年代別では、全体が82分だったのに対し10代が143分、20代が129分とその長さが指摘されている。

 従来の主役だったパソコンにかわり、自宅で料理をしながら、あるいは寝転がってくつろぎながら楽しみ、外出先では通勤、通学に、職場や学校では休憩時間を利用して、当たり前のようにスマホを使う。スマホの普及に伴い増加しているのがSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)。代表的なLINE(ライン)、フェイスブック、ツイッターの利用率は71・2%(16年)にまで上昇、その存在が社会に定着しつつあることをうかがわせる。

 特に、社会をデジタルで変容させる可能性を持つ「ミレニアル世代」といわれる20代では、リアルやネットの友人、同僚と情報を交換する。こうした「コミュニケーション」を好むユーザーは、依存傾向がより高いといわれている。

 「ネット依存から子どもを救え」(光文社)の共著者で、早くからネット依存に取り組んできた「成城墨岡クリニック」(東京)の墨岡孝院長(精神科医)はこう説明する。

 「ネットやスマホの依存が問題になってきたのは7~8年前からですが、当時に比べても機械がどんどん進化し、環境もだいぶ変わってきています。とはいえ、医学的に精神疾患として注目されたのは、98年に示された、アメリカの心理学者キンバリー・ヤングによるネット依存のチェックテストでしょう」。

 全部で20項目からなる“チェックテスト”は現在も広く使われる。次回はそれを紹介しよう。