「8020」を達成するには理想的な歯並びやかみ合わせが重要であるというお話を前回しましたが、早速ご自身でチェックしてみましょう。

 まずは歯並びです。鏡に向かって正面を向き、口角を上げてください。奥歯をかみ合わせた状態で、以下のポイントを見ます。<1>上の前歯と下の前歯の中心が1本で結べずズレている<2>八重歯など歯列から飛び出している歯がある<3>歯が抜けたままになっているところがある<4>上下あるいは左右で歯の数が異なる<5>上下の前歯に隙間があいて舌が見える<6>上の歯と下の歯、どちらかが大きく手前に出ている<7>傾斜している歯がある。

 このほか、<8>サ行やタ行がうまく発音できない<9>口を開けた際に顎がまっすぐ開かない<10>口を開いた際に顎から音が鳴る、というポイントを見ます。

 当てはまる項目が少ないほど理想的な歯並び、かみ合わせといえます。中年以降の方は、虫歯や歯周病などで歯並びやかみ合わせが大きく変化していることがあります。そのままの状態を放置すると、肩凝りや腰痛、頭痛といった症状や、ストレスや歯ぎしりからくる歯の破折、顔のゆがみや顎の変形、口臭といった厄介な症状につながりかねません。

 皆さんに知っておいていただきたいのは「これ以上悪くしない」ためにどんな対処法があるかを考える姿勢です。歯が抜けてしまったところには何かを補い、かむ機能を少しでも回復させる。歯が重なって食物が頻繁に挟まるようであれば、念入りにケアする習慣をつける、あるいは矯正治療で歯列を整えることもひとつでしょう。磨きにくい場所で虫歯が進行してしまったら、セラミックなど汚れが付きにくく衛生的な材質で予防的にカバーする…。

 歯の守り方は人それぞれですから、信頼できるかかりつけ歯科医を持っておくことが8020への近道です。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ)歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。分かりやすい解説はテレビ、ラジオでもおなじみ。昨年出版した「歯科医が考案・毒出しうがい」(アスコム)は反響を呼び、ベストセラーとなった。近著に「『噛む力』が病気の9割を遠ざける」(宝島社)。女性医師のボランティア活動団体「En女医会」会長。