現在、日本人の3人に1人が何らかのアレルギーを持ち、16歳未満の3人に1人が花粉症だと言われている。また以前は、アトピー性皮膚炎は「大人になれば治る」と言われていたが、最近では大人になっても症状が続くなどその患者数は増えている。

▼われわれの体の中で、一体何が起きているのか。ある外国人は、「子供が生まれて半年程度たったら牧場へ連れて行って動物と戯れるのさ。動物と仲良くさせたいというのもあるけれど、動物と接することで免疫力をつけるのが目的なんだ」と言う。生まれてしばらくの間、赤ちゃんは母親から母乳などを通じて免疫成分を受け継いでいるが、生後半年~1歳前後からは離乳食がはじまり、自己免疫を備え始める。また、別の外国人からはこんなことを聞いた。「日本人は部屋で靴を履かないだろ。毎日お風呂にも入るし、清潔すぎて免疫が育たないんじゃないか?」。そう、日本は、あらゆる施設にアルコール消毒剤を備えてあるほどの清潔好きである一方、アレルギー大国でもあるのだ。

▼動物と接すると免疫力がつくという説を裏付ける研究結果を紹介しよう。英ウォリック大学のマクニコラス博士は「ペットを飼っている子供はぜんそくにかかりにくい」との研究結果を発表している。また、米ジョージア医科大学のデニス博士は、1歳までにペットを2匹以上飼っているとアトピーにかかる割合が半数であると報告している。もちろん、アレルギーについては安易に考えると生命にかかわる危険があるので、アレルギー素因のある人がペットを飼えばいいという短絡的なものではない。しかし大規模な統計から見出だされる傾向としてはとても参考になる。

▼極端な例で言えば、無菌室で育てられた動物は一般の外部環境では生きられない、ということ。われわれ生物は、目には見えないがさまざまな細菌と共生している。最近の研究では体内に数百兆個いると言われる腸内細菌が体質にも影響を与えていることが分かっている。体にもともと備わっている機能である免疫を知り、そして免疫にとって細菌が重要な役割を担っていることへの理解が広まれば、このアレルギー大国・日本の現状は変えられるかもしれない。

※引用:http://www.nekobaka.com/~ne-help/news.html。https://news.mynavi.jp/article/20130421-a050/