本紙で前回、男性の泌尿器科の病気を説明してくれた、日本大学医学部泌尿器科学系主任教授・高橋悟氏(59)が、「女性の頻尿・尿失禁」についてお話しします。日本女性の約2500万人もが、オシッコで困った経験を持っているというデータがあります。そのうち成人女性の約400万~500万人が尿失禁を経験、また頻尿に悩んでいる人も少なくありません。それでいて受診をためらう女性が多いことに、同氏は「我慢しないで相談して!」と診察を勧めています。

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「パッドテスト」もまた、腹圧性尿失禁の患者さんを対象とした検査です。尿もれ専用パッドをあてて60分の間に決められた動作をした後、パッドの重さを量り、もれた尿の量を割り出すものです。

手順は次のとおりです。(1)パッドをあてて500ミリリットルの飲料水を飲む。飲んだあとは安静に(15分間)(2)外を歩く(30分間=散歩、階段上り下り)(3)次の動作をする(15分間=椅子に座る→立ち上がる・10回、足を肩幅に開き前傾姿勢で強くせき込む・10回、手足を大きく振って足踏みする・1分間、床にあるものを腰をかがめて拾う・5回、流水で手を洗う・1分間)

60分たち、すべて終了したらパッドを外しビニール袋に入れて重さを量ります。使用前のパッドとビニール袋の重さを差し引くと、もれた尿の量(グラム)がわかります。テスト終了後、計量カップに排尿して尿の量(ミリリットル)を量ります。この量が200ミリリットル未満のときは再検査を行うことになります。

尿失禁の重症度はパッドテストでもれた尿の量によって判定されます。2・1~5・0グラムなら「軽度」、5・1~10・0グラムは「中等度」、10・1~50・0グラムなら「高度」、50・1グラム以上は「極めて高度」となります。中等度までなら、「骨盤底筋体操」で治療可能です。

2グラム以下は「尿失禁ではない」と判定されますが、「そんなはずはない。確かにもれている」という人は「パッドテスト・パート2」に進みます。パート2はパッドテストの結果が5グラム以下の人に追加して行われるものです。テニスやエアロビなど激しい運動をしたときだけもれる人もいて、こういう場合は先の方法では尿失禁が起こらないことがあります。そこで、跳んだりはねたりしてどれだけもれるか、テストするわけです。

尿もれ専用パッドをつけて、まず両足を開いたまま20回跳び、次に60回続けて縄跳びをします。その後同じようにパッドの重さを量り、尿もれの量を調べます。膝や腰が悪い人は、24時間パッドテストを実施。うっとうしいですが、パッドをつけて普通に生活をし、24時間でどれだけもれたか調べるのです。通常のパッドテストは実態より軽めの評価が出ることが多く、24時間パッドテストを数日間行ったほうが、より正確に判定できるといわれています。