北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏が、「ウィズコロナ時代」のロカボ(緩やかな糖質制限)について解説します。ロカボの語源は「Low(低い) Carbohydrate(炭水化物などの糖質)」。新型コロナウイルスとの共生で新しい生活様式が求められる中、食事に気を付けながら、毎日楽しく食べて健康になりましょうと、勧めています。

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私自身、15年ほど前まで昼はおにぎり2個と野菜ジュースという生活をしていました。おにぎり1つでは足りず、野菜も不足しているなと思うので、野菜ジュースでカバーしようとしていたわけです。

コンビニのおにぎり1個の糖質は約40グラムです。野菜ジュースは繰り返しお話ししてきたように15~20グラムの糖質が入っています。これだけで糖質が100グラムになる一方、タンパク質と脂質は圧倒的に不足しています。血糖値は急激に上がり、インスリンが遅れて大量に出ます。今度は急に血糖値が下がるため、以前、お話しした「血糖値スパイク」で満腹感が打ち消されます。食べたばかりだというのにおなかがすいて間食してしまう。肥満への一本道です。

ロカボ(ゆるやかな糖質制限)はタンパク質、脂質は存分に食べ、糖質を1食当たり20~40グラムに抑える食事法です。今、コンビニ業界はタンパク質に力を入れていて、野菜と鶏肉を組み合わせて、糖質を抑え、20グラム前後のタンパク質が取れる商品を次々と出しています。

タンパク質、脂質は満腹感をつくり、しかも長く持続します。インクレチンというホルモンを腸から出させ、インスリンの分泌を早めて、血糖上昇にブレーキをかけます。昼食はそれらの商品を選んで、足りなければ「からあげクン」(タンパク質14・0グラム)とか「ななチキ」(同13・8グラム)とか「ファミチキ」(同12・7グラム)を加えればいいと思います。

それでも足りず、さらにおにぎりを食べたいと思う人はかなりの胃袋の持ち主だと思いますが、食べ順が糖質が最後の「カーボラスト」になっているので、おにぎり1個だけを食べるよりは血糖上昇を抑制できます。