北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏が、「ウィズコロナ時代」のロカボ(緩やかな糖質制限)について解説します。ロカボの語源は「Low(低い) Carbohydrate(炭水化物などの糖質)」。新型コロナウイルスとの共生で新しい生活様式が求められる中、食事に気を付けながら、毎日楽しく食べて健康になりましょうと、勧めています。

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この連載では何度もメタボリックドミノについて触れてきました。生活習慣を元に肥満が起こり、その下流で食後高血糖、高脂血症、高血圧が起こる。さらにその下流に糖尿病があり、糖尿病を介する形で失明、人工透析、認知症などが起こる。糖尿病を介さないルートでも動脈硬化症、心臓病、脳卒中が起こり、最近ではがんも下流にあることが分かってきました。

できるだけ上流でこのドミノ倒しを止めなければいけません。しかし、血糖値について言うと、空腹時血糖値の異常は糖尿病発症の1~2年前に起こり、食後高血糖は糖尿病発症の10~11年前に起こっていることが分かっています。空腹時血糖値は正常だが、食後の血糖値は高い。ドミノ倒しは実はこの段階で進んでいるのです。

連載ではハーバード大のグループが2018年に提唱したメタボリックドミノの最上流にあるのは肥満ではなく、食後高血糖であるという考え方も紹介しました。ドミノの本当の根っこは食後高血糖! 食後の血糖値をチェックすることは大変重要です。

ご自身でチェックする方法は2つあります。1つはサッカーの長友佑都選手が使った「リブレ」です。指先穿刺(せんし)はなく、500円玉くらいのセンサーを腕に貼ると、間質液中のブドウ糖濃度を2週間測定できます。血糖値ではありませんが、相関関係は高く、10の位は間違いのない精度です。

もうひとつは、調剤薬局、ドラッグストアで設置されている検体測定室(ゆびさきセルフ測定室)の利用です。使い捨ての穿刺キットを使って自分で少量の血液を採り、薬剤師が専用の測定器で計測します。設置店舗は増えていて、事前予約は不要です。料金は500~1000円です。

普通の健康診断では測らない食後血糖値をぜひ把握して下さい。 (おわり)