男性にとって「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」を防ぎ、健康で充実した人生を歩むには、男性ホルモン(テストステロン)を高めることが重要です。自分でできる生活改善。今回は「食生活の改善<2>」として「ビタミンE」にスポットライトを当てます。

ビタミンEは体内の脂質の酸化を抑えてくれる「抗酸化ビタミン」として有名です。動脈硬化を予防するのみならず、がん、老化予防などで知られています。さらに、ビタミンEはメンズヘルスに欠かせないテストステロンを高める働きもあるのです。

だから、ビタミンEの多いものはしっかり摂取しましょう。ビタミンEの多い食材として知られているのは、アーモンド・ナッツなどの種実類、オリーブオイルなどの植物油、イクラ、タコなどの魚介類、ブロッコリーなどの野菜などに多く含まれています。

ブロッコリーはサラダとして生で食べてもOK、あとは炒めるのもOK。植物油と一緒に摂取するといいでしょう。タコにはビタミンEのみならず、男性が不足するとED(勃起障害)、薄毛などの原因になる亜鉛も多く含まれています。

加えて、赤ワインもお薦め。それは赤ワインには「レスベラトロール」が多く含まれているから。レスベラトロールはNO(一酸化窒素)の産生に欠かせない物質です。NOの減少は老化を早めるとともに、EDとも関係するのです。

これらの点から考えると、長寿食として科学的根拠が示されている「地中海食」を食べながら、赤ワインを飲むのはメンズヘルスには最高。ただし、赤ワインは適量を守りましょう。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

◆井手久満(いで・ひさみつ) 1991年宮崎大学医学部卒業。国立がんセンター、UCLAハワードヒューズ研究所、帝京大学等を経て、20年4月から独協医科大学埼玉医療センター教授、低侵襲治療センター長。ロボット支援手術プロクター認定医、日本メンズヘルス医学会理事、日本抗加齢学会理事等。前立腺がん予防や男性ホルモンが研究テーマ。今年9月18~19日、日本メンズヘルス医学会を会長として開催する。