◆慢性炎症が怖い

46年間、地域で健康づくり運動を行ってきました。脳卒中や心臓病、がんを減らす目標! これらはみな慢性炎症が関係しているということが分かってきました。

脂肪肝から肝硬変になり、肝臓がんになると言われていますが、脂肪肝も慢性炎症です。アルツハイマー病も慢性炎症。心筋梗塞や脳梗塞を起こす動脈硬化も慢性炎症が関係しています。その慢性炎症を起こすのは、肥満や高血糖、高血圧です。

◆生活習慣とうつ病

独協大学精神科の教授、井原裕先生と対談をしました。

内科医が診ている慢性疲労症候群(集中力がなくなり、倦怠=けんたい=感や睡眠障がいを起こす)もフレイルも、精神科医が診ているうつ病も、慢性炎症が関係しています。

よく使われている抗うつ剤のSSRIは、5~8人に1人しか効果がありません。むしろ十分な睡眠、適度な運動、糖質を控えた食事など、生活習慣の改善に重きを置くと、かなり改善してくるとされています。

◆慢性炎症は万病のもと

ハーバード大学の研究論文によると、野菜やナッツ、豆類を多くとる健康的な食生活は、パーキンソン病の前駆症状を抑制する可能性があるとのこと。つまり、パーキンソン病も慢性炎症が関係しているのです。

コロナストレスによって慢性炎症が広がりやすくなっています。ウィズ・コロナの時代に、睡眠、運動、この連載で繰り返し述べてきた食事療法を行うことで、慢性炎症を防ぐことはとても大事なことです。

◆テレビ、ラジオでもおなじみの医師で作家の鎌田實氏が、長引く新型コロナウイルスの感染症との付き合いで、私たちにできること、いかに困難と向き合っていくか、じっくりとお伝えしていきます。