<11>『姿勢の悪さで気象病悪化』

9月の台風シーズンには、台風が近づくたびに、低気圧の影響で自律神経が乱れ、頭痛、めまい、吐き気、関節痛、動悸(どうき)などの体調不良に陥ることがある。テレワークでパソコンに向かうのもつらい。そんな不調に「姿勢の悪さ」が関与していることがある。

「自律神経は脳の視床下部から脊髄を通り、全身の各器官につながっています。姿勢が悪いと背骨がゆがみ、自律神経の信号がうまく伝わらなくなるのです」と、「せたがや内科・神経内科クリニック」(東京都世田谷区)の久手堅司院長。「面白いほどわかる自律神経の新常識」(宝島社刊)の著者で、気象病・天気病外来を開設している。

自律神経の働きは、交感神経と副交感神経のバランスで成り立っている。血管の収縮、心拍数の増加、消化抑制などを交感神経が支配し、逆に、血管の拡張、心拍数の減少、消化促進などを副交感神経が担う。このバランスが崩れて交感神経が優位な状態が続くと、めまいや頭痛、吐き気、関節痛などの症状が現れる。それを後押しするのが、低気圧であり気象病と称す。

「今夏は気象病外来の患者さんが増えました。診断してみるとほとんどの患者さんの骨格がゆがんでいました。コロナ自粛で、スマートフォンやパソコンの操作時間が長くなり、前かがみの姿勢を長らく続けて骨格がゆがんでいるのです」

前かがみの姿勢は、首や背骨に大きな負担をかけ、長らく続けることで、自律神経にまで悪影響を及ぼす。正しい姿勢を意識しよう。