『骨格筋が肝臓の代謝障害を後押し』

昨年来、コロナ自粛に伴う運動不足による不健康の増加が指摘されている。運動不足では、筋肉量が減って足腰が弱くなり、転倒・骨折につながるだけでなく、糖尿病などの生活習慣病も悪化させてしまう。筋肉に問題が生じると、肝臓にも負担をかけることになる。

「筋肉はブドウ糖を燃焼する一方で、ブドウ糖を蓄える場所でもあります。運動不足があると、ブドウ糖をうまく蓄えられなくなり、余った糖が全身をめぐります。その影響を大きく受けるのが肝臓なのです」とは、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学/スポーツ医学・スポートロジーの田村好史先任准教授。太っていなくても糖尿病になるメカニズムなどを解明し、予防医学に貢献する最先端の研究を行っている。

「脂肪肝や中性脂肪上昇の原因の1つは糖質です。筋肉でうまく糖を取り込めなくなると、余った糖が肝臓に流れ着き、肝臓はその糖から脂肪を合成してしまうのです」

脂肪肝は、油ものの食べすぎ、お酒の飲みすぎなどをイメージしがちだが、一方で、糖質のとりすぎや筋肉の問題も原因として重要なのである。

「肝臓は骨格筋の問題により、二次被害を受けているといってもよいかもしれません。それを断ち切るには、当たり前の話ですが、運動不足の解消によって、筋肉の状態を良い状態に戻すとともに、食生活の見直しも重要といえます」

骨格筋は肝臓に悪影響を及ぼすことを忘れずに。