<28>『痩せた女性も糖尿病になりやすい』

コロナ禍での生活環境の変化を機に、食生活を見直して減量に励む人はいる。だが、単に食事制限だけで体重を落とすダイエット法では、筋肉量が減少することで、糖尿病のリスクを上げる恐れがあるのでご用心。

「もともと痩せた人は、太った人と同様に糖尿病になりやすいことがわかっていました。が、私たちの研究で、痩せた女性は筋肉が少ない人ほど、血糖値が上昇しやすいことがわかりました。筋肉量が少ないと、食後に十分なブドウ糖を筋肉に取り込めず、高血糖を起こしやすいと考えられます」と説明するのは、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学/スポーツ医学・スポートロジーの田村好史先任准教授。病気予防医学の進展のため、生活習慣病などのメカニズム解明の研究を数多く手掛けている。

「筋肉量の低下に加え、運動不足により骨格筋の質の低下(インスリン抵抗性)を引き起こし、ブドウ糖をうまく取り込めなくなる可能性があります」

痩せていて筋肉量が少ないと食後高血糖になりやすく、その状態が続くと糖尿病につながる。

「いずれにしても、単に食べないで痩せるという減量法はよくない。私たちはこれをエネルギー低回転型と呼んでいて、不健康な痩せ方と考えています。食べて、動いて、しっかりエネルギーを回転させ、その結果として筋肉の量を増やし、質を改善する。太った人は、体脂肪を減らすことを心掛けると良いでしょう」