ライフスタイルと病気が結びついている。現代社会で「生活習慣病」が生まれて30年近くなる。病気と食べ物の関係といえば、たとえば肥満や高脂肪による動脈硬化あるいは心臓病、脳卒中、糖尿病、最近はがんに至るまでいまではよく知られた関係といってもよい。

「こころに効く精神栄養学」(女子栄養大学出版部)の著者で帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀(くぬぎ)浩主任教授はこう説明する。

「1970年代に北極圏に暮らすイヌイットの研究で、心筋梗塞が少ないのが食生活にあるといったことなどが注目され、生活習慣というものがこうした病気と関係が深いことがわかってきました」

日本人の死因を占めるがん、心臓病、脳卒中も同様だ。

「脳やこころの病気は食べものよりも養育環境などが重要だと。たしかにそれらは大事ですが、食べ物はそれプラス重要だということです。この5年ぐらいは非常に注目されています」

日本ではこころの病が急増している。先の3大死因に加えて糖尿病、精神疾患による「5大疾患」対策は急務といえる。

「精神疾患の患者数は348万人と他の疾患に比べても非常に多いのです。その理由は20代、30代、40代、若い人でもなるのが特徴で、誰でもがかかる可能性がある。とりわけ“うつ病”は深刻で、それを背景にした自殺は若い世代を中心に死因のトップを占めているのです」

こころの健康を脅かす「うつ病」にも生活習慣という視点が不可欠というわけだ。