「葉酸」の不足も要注意-。帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授は指摘する。

「葉酸の欠乏は貧血以外にもうつ病にもなりやすい。モノアミンと呼ばれるドーパミンなどの物質が持続して不足するとうつ病になりやすいことはよく知られています。また、動脈硬化や認知症のリスクにもなると考えられています」

功刀主任教授は「うつ病になったら葉酸値のチェックは必須」という。医薬品としても承認されている葉酸だが、栄養補助食品としても普及しており手軽に入手して補充することもできる。ただし、用法用量は説明書を読んできちんと守ることが大切だ。

脳内物質である「トリプトファン」の不足も同様に注意したい。「トリプトファン」は脳内の神経伝達物質のひとつ「セロトニン」の原料となるうつ病治療でも知られている。

「ふだん、うつ病の治療薬としてよく使われているものはセロトニン再取り込み阻害薬といい脳の神経細胞が放出したセロトニンが再び細胞内に取り込まれるのをブロックしてセロトニンの作用を長続きさせるという仕組みです」

セロトニンはトリプトファンから合成される。

「うつ病に効くことからセロトニン不足はうつ病の原因だという説があるのです。また脳の松果体(しょうかたい)では周りが暗くなるとセロトニンからメラトニンが合成されます。メラトニンは睡眠をうながすホルモンとして知られています」