おなかの状態をよくすることでストレスの改善にも役立つことは十分考えられる。

「こころに効く精神栄養学」(女子栄養大学出版部)の著者で帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授はこう話す。

「私たちの研究でも善玉菌が少ないとうつ病になりやすいことが示唆されています。海外ではビフィズス菌など善玉菌がうつ病治療に役立つという報告もあるのです」。

こころの病と栄養(食事)の深い関係は古くて新しい。たとえばストレス解消にと飲酒量が増え、それが高じることで肝臓を傷めたり、栄養が偏ることもあり得る話。功刀主任教授が続ける。

「アルコールに関することや、摂食障害などはすでにわかっていることで、そうした病気ではなくてもこころの病には栄養学的に問題があるということです。たとえば自閉症では偏食があるわけですが、自閉症のもつ“こだわり”が、味や食感、においなどのこだわりになって、栄養が偏ることになる。栄養が偏れば偏るほど発達にもよくないし、脳機能にもよくない。そうした悪循環になる可能性があるということです」

偏食はできるだけ早く改善しておきたい。加えて問題なのが「食物繊維」の不足だ。

「腸内環境がよくない理由のひとつが食物繊維の不足です。食物繊維は腸内細菌のエサになるのですが、日本人の穀類からの食物繊維摂取量は2016年までの約60年間で約3分の1にまで減少しています」