日本人の死因の第1位は「がん」で、年間の死亡者数は37万7425人。そのがんの中では、肺がんで命を落とす人が年間7万5394人。がん種別では肺がんで亡くなる人の最も多いことが知られています。

その肺がんを早期に発見し、死に結び付かないようにするには、肺がんを正しく知ることが重要。そのためには、まずは肺の仕組みから知って欲しいのです。

肺は胸の大部分を占める臓器で、右側3個、左側2個の「肺葉」に分かれています。私たちが息を吸うと、口、鼻から気管を通って肺葉へと入り込みます。気管は空気の通り道なのです。

その気管は主気管支、気管支、細気管支、終末細気管支などに何度も枝分かれし、肺の最も末端にある肺胞にたどりつきます。枝分かれの回数は25回くらいです。

そして、たどりついた肺胞はクワの実のような形をしていて、その数は両肺で6億個にのぼる、と言われています。この肺胞で血液中の二酸化炭素と酸素を交換。いわゆるガス交換が行われるのです。

この空気の通り道にできる悪性腫瘍が「肺がん」です。ただ、肺がんは死亡者数が多いことでもわかるように、進行が速いため、早期発見が望ましいがんなのです。症状が出てからではなく、無症状の段階でいかに発見するかが重要なポイントになります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)