肺がんの約85%を占める「非小細胞がん」。その病期の1、2期の治療については前回紹介しました。今回は病期の3、4期の状態と治療について紹介します。

◎3期 がんの大きさが1・2期よりも大きく、気管の周りの縦隔リンパ節にまで転移している。

◎4期 がんが離れた臓器の脳、骨、肝臓、副腎など、他臓器に遠隔転移している。

まず3期は、転移をしているものの治療としては手術ができないわけではありません。リンパ節に転移をしていても1カ所だけでそれが取り切れる場合は、手術が適応となります。ただ、手術をすれば治療は終わりではありません。手術後に薬物療法を行います。

このリンパ節転移が複数あり、大きくリンパ節が腫大している場合は、薬物療法と放射線療法を併用した治療の方が効果があります。それに、免疫チェックポイント阻害薬を加えることもあります。

また、肺がんの状態によっては薬物療法中心の治療にするか手術も加えるかなど、極めて難しい選択になる場合もあります。そのようなときは、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科、臨床腫瘍科のスタッフが集まって討議し、治療を決定するのが良いとされています。

4期の治療は、手術は行わず、薬物療法が中心になります。抗がん剤のほか、分子標的薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬などを使った治療になります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)