肺がんの非小細胞がんでは、肺をどれだけ切除するかによって「肺全摘術」「肺葉切除術」「縮小手術」に分けられています。

それ以外で、身体に負担の少ない手術の方法として、「胸腔鏡手術」「開胸手術」に分けることができます。身体の表面につくキズが大きいか小さいかで分ける、といった方がわかりやすいでしょう。今回は胸腔鏡手術を取り上げます。

胸腔鏡手術は、患者さんの背中と脇に3~4カ所、小さく切開します。最も大きな切開部でも3~4センチ程度で、小さい切開部は2センチ程度。“身体の表面につくキズが小さい手術”です。

その3~4カ所の切開部から胸の中に、カメラのついた胸腔鏡と手術器具を挿入します。手術室のモニターには、胸腔鏡による胸腔内の画像が拡大して映し出されています。執刀医はそのモニターを見ながら手術器具を操作して手術を行います。

胸腔鏡手術は開胸手術に比べてキズが大変小さいので、呼吸に関与する筋肉の切断量も極めて少ない。だから、“身体に負担の少ない手術”と言われているのです。身体に負担が少ないので、回復は当然早い。すると、入院期間も短くなります。

今、日本の肺がん手術の7割が、この胸腔鏡手術で行われています。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)