肺がんの病期(ステージ)分類は、全体的には1期から4期に分けられています。ただ、小細胞がんは進行が極めて速いので、1期で発見されることは人間ドックで発見されるケース以外ではなかなかありません。また、小細胞がんは治療方針を決めるために、「限局型」と「進展型」に分けて対応しています。

◎限局型 放射線治療が可能。つまり、小細胞がんが片方の肺にとどまっているか、同じ側のリンパ節、もしくは反対側の限られたリンパ節にとどまっている。

◎進展型 限局型の範囲を超え、他の臓器に転移したりしている。

小細胞がんは早期の発見が極めて難しいからといって、手術が適応になる患者さんがいないわけではありませんが、少ないのが現状です。そのため、限局型の治療の基本は抗がん剤による「化学療法」と「放射線治療」を組み合わせて、根治を目指します。限局型だから放射線が使えるではなく、放射線が使える範囲にがんがとどまっているから限局型なのです。

一方、進展型の場合は、放射線が使えない範囲にまでがんが広がっているので、抗がん剤を中心とした薬のパワーだけで延命効果を狙うことになります。延命はできますが、それもなかなか難しい治療になります。特効薬がありませんから……。厳しい言葉にはなりますが、根治が目指せないのが現状です。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)