肺がんは「腺がん」「扁平(へんぺい)上皮がん」「大細胞がん」「小細胞がん」の4つに大きく分けられます。

肺がん全体に占める割合では、腺がんが最も多くて60%を占め、次いで扁平上皮がんの25%。30~40年前は腺がんと扁平上皮がんの割合はほぼ同じでした。今は、腺がんが圧倒的に多くなっています。

腺がんと扁平上皮がんが対照的なのは、腺がんはたばことも関係しますが、逆にたばこをまったく吸わない女性にも起こるがんなのに対し、扁平上皮がんはヘビースモーカーの高齢の男性に多いのが特徴です。

もう1つ対照的なのは、腺がんは肺の隅っこにできるケースが多いのに対し、扁平上皮がんは太い気管支にできます。そのため、腺がんは症状が出にくいのに対し、扁平上皮がんはせき、血痰(けったん)といったサインが出やすいのです。

サインが出にくい腺がんの場合、早期に発見するには「検診」が大きなポイント。40歳を超えると市町村から「がん検診」の連絡があり、胸部エックス線検査を受けることができます。腺がんは、がん検診で発見されるケースがとても多いと考えられます。

さらに、市町村の一部ではがん検診に最初からCT(コンピューター断層撮影)検査を用いる動きも出てきました。CTはエックス線の死角になるような場所に小さな影があっても、それを発見することができます。肺がんが心配な方は、CT検査を受けると早期がんの発見につながる可能性は高いと思います。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)